ビタミン、ミネラル サプリの効果は?

 

米国統合医療ノート

http://d.hatena.ne.jp/appleflower/searchdiary?word=%2A%5B%A5%DF%A5%CD%A5%E9%A5%EB%5D より~有用記事 クリックしてご覧ください。

 

食事・微量栄養素・サプリの研究が世界中でどんどん進み、その効果も限界も、
次第に明らかになっています。このブログではその最新情報をご紹介します。

2012年12月29日

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マルチビタミンは循環器系では有意差なし

マルチビタミン・ミネラルは、冠状動脈疾患・心筋梗塞・脳卒中の発症、および冠状動脈疾患による死亡リスクについて、プラセボと有意差はなかった。 http://t.co/wr0R4yXH

1万4千人を11年フォローしたハーバード系の二重盲検試験。前報(同じ対象での研究)と比べて読んでください。マルチビタミン・ミネラルはがんのリスクを低減する効果は検出された。でも循環器疾患の予防効果は検出できなかった、という話。

お茶と消化器がん

6万9千人の女性を11年追跡(タバコを吸わずお酒も飲まない人)。お茶を飲む人は消化器がんのリスクが 0.86倍に(P-trend=0.01)。1日2–3杯のお茶を飲むと消化器がんのリスクは 0.79倍。  http://t.co/owjGTxQm

魚油と術後の心房細動

魚油は術後の心房細動の発生を抑制しなかった。1500人の二重盲検試験。  http://t.co/gBVxrtQz

(術前に10g/日を3 – 5日、術後に2g/日を退院まで。ずいぶん大量投与だけど、それでも特に魚油群が出血傾向が高いということはなかった。そのことのほうが重要かもしれません)

2012年10月18日

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■ マルチビタミンでがんのリスクが低下

14,641人の50歳以上のアメリカ人男性医師を対象にした、「医師の健康研究」と呼ばれるハーバード系の大規模な無作為化二重盲検試験。11.2年にわたり追跡するうちに2669人ががんを発症した。  http://t.co/dVbl74sf

マルチビタミン服用群とプラセボ群で比較すると、マルチビタミン群はがん発症リスクがプラセボ群の0.92倍(8%減)と有意に低かった(P=0.04)。死亡リスクも0.88倍と低かったが有意差なし(P=0.07)。

がんの既往歴がある人に限って解析しても、マルチビタミン群は発がんリスクが0.73倍と有意に低かった(P=0.02)。

(ある時点でビタミン摂取についてアンケート調査をし、がんとの関連を調べた、というタイプの研究でないことに注意。プロスペクティブに実施した、1万4千人を11年も追跡する無作為化二重盲検試験。すごい研究の底力だし、説得力がある。

がんのリスクが8%低減する効果は、小さい?大きい? もし逆に「何か」でがんの人が8%増えた、という報告があったら、どうでしょう。そう考えると、この結果は十分に意味がありますね。)

■ ラドンとがん

ラドンは肺がん以外のリスクと関連が無い、という81万人のアメリカがん協会のデータ http://t.co/rbwWSvcj

■ 高齢者の認知機能と食事

果物、野菜、魚をたくさん摂った高齢者は認知機能が衰える人が少ない傾向にあった(P=0.065)。 http://t.co/kGzQXdK2

■ 低グリセミックロード(GL)食と内分泌

低GL食を28日間続けたら、食後血糖値と食後インスリン値は43%、27%低下した。インスリン様成長因子(IGF-1)も4%低下。 http://t.co/RwbzeVJW

(食後血糖値とインスリン値が下がることは当然だけど、IGF-1も下がった、というところがポイントか)

2012年10月03日

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鉄・肉の摂取と子宮内膜がん

スウェーデンの女性6万人を21年間追跡。ヘム鉄(動物性鉄)の摂取が多い人は、子宮内膜がんのリスクが(摂取が少ない人の)1.24倍。 http://t.co/QZ5vfgpr

摂取した鉄の総量で見ても、鉄を多く摂取すると子宮内膜がんのリスクは1.31倍。

肉の摂取と子宮内膜がんの関係も分析した。レバーを多く食べるとリスクは1.29倍。 赤身の肉、加工肉の摂取量と子宮内膜がんのリスクには、有意差は無かった。

レバーはご承知のように鉄が多いです。鉄は過剰摂取に要注意。生理のある女性以外は、(鉄欠乏性貧血、という診断でもない限り)鉄の入ったサプリをあえて飲む必要があるか疑問です。

魚・不飽和脂肪酸と心不全

魚を月1回でも食べると心不全のリスクが食べない人の0.70 – 0.73倍(30%減)に。アメリカの男性医師2万人のデータ。 http://t.co/EUQUAd3k

脂肪酸で分けると、血中のαリノレン酸とドコサペンタエン酸(DPA)が高いと心不全のリスクが低い。EPA, DHAは有意差なし。

たった月1回の魚で差が出るとは驚き。逆に、月に1度も魚を食べない人がいるのもびっくり。

ビタミンB6不足で脂肪酸組成も変わる

ビタミンB6不足気味の食事を28日間続けたら、血中の不飽和脂肪酸(アラキドン酸, EPA, DHA)が減少し、オメガ6/3比が高まった、という報告。 http://t.co/SOzGhTKQ

ビタミンB6不足が冠動脈疾患のリスクを高めるのは、脂肪酸の構成を悪化させるというメカニズムが関与してるかも、と。

文献によると、ビタミンB群が不足すると、オメガ3の代謝経路であるαリノレン酸からEPA、DHAへの代謝酵素の働きが阻害されるようです。

2012年09月18日

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■カロリー制限はアカゲザルの生存率に影響を与えなかった。Natureに掲載になったアメリカ国立加齢研究所(NIA)の報告。 http://t.co/5K6BMSAI

3年前にScienceに出た、アカゲザルにカロリー制限をして長期観察した論文(http://t.co/Qawk3Syr)では寿命が延びたのに、今度は違うと一部で話題に。(Science論文のことは前にこちらに書きました)

カロリー制限すると寿命が延びることは、線虫やハエやネズミでは確立しています。Science論文で、初めてサルでもそれが実証されたのに、Nature論文では延びないという結論。

長生きの手段を期待していた人たちはがっかり。飽食したい人は言い訳が見つかってうれしそう。でも論文を良く読むと、カロリー制限は役に立たない、という報告ではなく、むしろその逆で、やっぱり食事と栄養は大事だ、と思えます。以下解説します。

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まず今度のNature論文でも、カロリー制限したサルでは中性脂肪、コレステロール、空腹時血糖が低くなっています。血清の酸化ストレスマーカーも、カロリー制限群では酸化ストレスが低いことを示しています。また、若い時からカロリー制限した群では有意にがんが少ない(P=0.028)。加齢関連疾患(がん、糖尿、循環器病、関節炎など)も、ぎりぎりで有意差に至らないが、対照群より少ない(P<0.06)、という結果が得られています。やはりカロリー制限はいいのです。

ではなぜScience論文のように生存率に差が出なかったか。どちらの実験でもカロリー制限群は対照群より摂取カロリーが22-25%少なかったが、実は2つの実験には細かい違いがありました。

まず【対照群の食べ方】。生存率に差が出たScience論文では、対照群は餌を自由に好きなだけ摂取していました。しかし差が出なかったNature論文では、対照群も与えられる量は決まっており、結果として対照群でもScience論文(飽食)よりも10%ほど少ないカロリーしか摂取していませんでした。

次に【餌の内容】です。差が出たScience論文では、餌の質を一定にするため原料にはアルブミン、コーン油、デンプン、砂糖など、単純な素材が用いられました。一方差が出なかったNature論文では、穀類、魚、野菜など、より多種類の天然素材が用いられました。つまりフィトケミカルや微量栄養素も摂取できたものと思われます。

そして【砂糖の量】。差が出たScience論文では餌のなんと28.5%(!)が砂糖でしたが、差が出なかったNature論文では砂糖の量は3.9%でした。

さらに【ビタミン・ミネラル】。差が出たScience論文では、カロリー制限群だけがビタミン・ミネラルを補充しました。差が出なかったNature論文では、どちらの餌にもビタミン・ミネラルが予め補充してあり、対照群はそれをより多く食べていましたから、ビタミン・ミネラルもより多く摂取していたことになります。

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どちらも20年も前に始めた研究なので、微量栄養素の重要性や、砂糖の害が十分に認識されていませんでした。そのため、図らずも「いい食事」と「悪い食事」を比較する形にもなっています。

つまりScience論文は、例えて言えば、糖質・スイーツ過多なジャンクフードを飽食している人と、ジャンクフードだが腹八分目に節制して、ビタミン・ミネラルを補った人を比較したようなもの。そして、節制した人の寿命は有意に長い。

そしてNature論文は、例えて言えば、栄養豊富ないい食事を普通に食べた人と、それを腹八分目に節制した人を比較したようなもの。そして、節制すると体に様々ないい影響はあったが、平均寿命の違いにまでは及ばなかった。

これらの20年に及ぶ2つの貴重な研究から、今のところ次のような示唆を読み取ることができるように思います。

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低質な食事を飽食していると寿命は短くなるが、カロリー制限とビタミン補充をすればそれを緩和できる。

一方、いい食事を普通にしているときは、さらにカロリー制限すると、健康寿命が延びる(がんが少なかったり、加齢関連疾患が少なかったりする)という効果はありそう。しかし平均寿命が大きく延びるかというと、そこまでの効果はなさそう。

どちらにしても、カロリー制限(腹八分目)は、間違いなくいいことだと思います。

2012年04月09日

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■ マグネシウムと血圧: マグネシウム120-973mgを3-24週間投与し、収縮期血圧は3-4mmHg、拡張期血圧は2-3mmHg低下。イギリスからのメタ解析論文 http://t.co/m3jYTspQ

370mg/日以上だとさらに効果がある。低下した数字は小さいけど、臨床的に意味がある、と研究者。

(栄養素による血圧低下はだいたいこのくらいのものが多い気がする)

2012年02月18日

2月18日CommentsAdd Star

■ 転移性胃がんにおける化学療法前のCRP(C反応性タンパク)値と予後の関係について、日本の研究。  http://t.co/1i1KXbQh

CRPが1.0未満の人は生存期間が有意に長く、無増悪生存(悪化しない)期間も有意に長かった。

(CRPは体内で炎症が起きていることを示すマーカーです。炎症といえば、打撲傷や虫さされのような「赤く腫れて痛い」炎がメラメラと燃え上がるようなものを思い浮かべますが、ストーブの上でスルメがブスブス黒こげになるような、静かな炎症もあります。

体内では誰でもいつも静かな炎症がブスブスと起きています。年をとるほど炎症を抑える働きが弱まり、炎症のレベルが高くなります。

CRPが高いといろんな疾患のリスクが高まります。CRPを低く抑えることはとても大事です。

それには野菜果物や魚(オメガ3不飽和脂肪酸)をたくさん摂ること。抗酸化サプリも有用です。

■ 直腸結腸がんと微量栄養素の関係について、カナダからの症例対象研究 http://t.co/uL1PMd0w

まず食事にサプリメントも合わせた総摂取量で考えた場合。直腸結腸がんのリスクを下げるのは、カルシウム、ビタミンC、D、B2、葉酸。

次に食事からの摂取量だけを考えた場合。直腸結腸がんのリスクを下げるのは、カルシウムとビタミンD。

つまりサプリメントでビタミンC、B2、葉酸の摂取量を増やすのはとても意味があるということ。

鉄の摂取量が多いと、逆に直腸結腸がんのリスクが高まる、という結果。

(生理のある女性が鉄欠乏性の貧血を防ぐために鉄剤を摂るのは意味があります。しかし閉経後の女性や男性は漫然と鉄を摂るべきではありません。あなたのマルチビタミン剤に鉄は入っていませんか? 一度ラベルを見たらいいです。)

2012年01月20日

過剰なナトリウムは心臓機能にも影響するCommentsAdd Star

ナトリウムはカリウムとのバランスで、血液の量や血圧を調節します。高血圧の人が食塩(塩化ナトリウム)を制限すると血圧が下がることは良く知られています。

アメリカの研究者らが、ナトリウムはその他のしかたでも循環器系に影響を与えることを報告しました(こちら)。

==要約==
研究の対象になったのは、1964-1975年に兵役を務めた286人の中年男性で、全員が双子です(133組とペアのいなくなった双子20人)。

過去12ヶ月の食生活を調査票で詳しく調べ、2002-2006年のあいだにPETという計測機器を用いて、休息時とストレス負荷時の心臓の血流(冠血流予備能:CFR)を測定しました。

そして食事からのナトリウムの摂取と心臓血流の間の関係を調べました。

人口統計要因(年齢層、教育、性別、婚姻など)、生活習慣(喫煙、飲酒、運動など)、食習慣(カロリー、カリウム、カルシウム、脂肪酸など)、循環器病のリスク要因(肥満、血圧、コレステロールなど)、薬の使用など、結果に影響を与えそうな要因は、群間で公平になるように統計的に調節しました。

すると、食事からのナトリウム摂取が1000mg/日増えるごとに、CFRは10.0%低下するという結果が得られました(P=0.01)。

ナトリウムの摂取量により5段階に区分すると、ナトリウム摂取が多いほどCFRは有意に低くなり(P-trend=0.03)、摂取最大群(1456mg/日 超)は摂取最低群(732mg/日 未満)に比べてCFRは20%も低くなっていました。

この関係は双子の間で比較したときも見られ、さまざまな影響を与える要素を公平に調節したあとも、食事からのナトリウム摂取が1000mg/日増えるごとに、CFRは10.3%低下するという結果でした(P=0.02)。
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高血圧の人はナトリウム制限食をすると血圧が下がります。しかし最近になって、同時にレニン、アルドステロン、アドレナリン、コレステロール、中性脂肪なども高まる、と懸念する声も上がるようになってきました(こちら)。

高血圧の人は何より血圧を下げなければなりませんから、得られる利点がリスクを上回ると考えることもできます。

しかし正常血圧の人が高血圧予防のためにナトリウム制限をするのは、適切なのかどうか。アメリカではいまそれが議論されているところです(こちら)。

議論の行方は見守らなければなりませんが、過剰なナトリウムが血圧ばかりでなく心臓の機能にも影響を与えることは、覚えておいたらいいですね。

(last updated 1/20/2012)

2011年10月13日

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ビタミンEと鉄の良くないデータCommentsAdd Star

しばらく書かない間に、サプリメントの気になる研究が2つ発表されていました。

==要約==
▼1つ目はSELECTと呼ばれるセレンとビタミンEによるがん予防の研究です(ソースはこちら)。2008年に有意な予防効果が得られないという結論が出て、投与を中止して経過観察していましたが、改めてその後のデータをまとめたものです。

北米とプエルトリコに住む前立腺に問題のない50歳以上の男性35,533人が試験対象になりました。427もの施設が参加した大規模研究です。

参加者を2001年から2004年の間に、無作為にセレン群(200μg/日)、ビタミンE群(400 IU/日)、セレン+ビタミンE群、プラセボ(偽薬)群の4群のうち1つに割り付けました。そして7年から12年追跡しました。

前回の報告後521例の前立腺がんが新たに診断され、それらを加えて再解析しました。

するとプラセボ群で529例が前立腺がんになったのに対し、ビタミンE群では620例が(ハザード比(HR)=1.17, 99%信頼区間(CI):1.004-1.36, P=0.008)、セレン群では575例が(HR=1.09, 0.93-1.27, P=0.18)、セレン+ビタミンE群では555例が(HR=1.05, 0.89-1.22, P=0.46)前立腺がんと診断されました。

ビタミンEを400 IU摂った人たちでは前立腺がんが有意に多かった、というデータです。

▼2つ目は高齢女性の死亡リスクとサプリメントの関係です(ソースはこちら)。

アイオワ州に住む38,772人の61歳以上の女性が対象になりました。1986年にサプリメントの使用を調査して観察を開始し、2008年までさらに3回調査しながら観察しました。

観察中に15,594人の死亡が確認されました。サプリメントの使用と死亡との関係を統計的に解析しました。

すると全く使用しなかった人に比べ、マルチビタミン(HR=1.06, 95%CI:1.02-1.10, 絶対リスク増2.4%)、ビタミンB6(HR=1.10, 1.01-1.21, 4.1%)、葉酸(1.15, 1.00-1.32, 5.9%)、鉄(1.10, 1.03-1.17, 3.9%)、マグネシウム(1.08, 1.01-1.15, 3.6%)、亜鉛(1.08, 1.01-1.15, 3.0%)、銅(1.45, 1.20-1.75, 18.0%)の各サプリメントでは、使用している人は総死亡率が高いという有意の相関がありました。

カルシウムでは総死亡率が低いという有意の逆相関がありました(HR=0.91, 95%CI:0.88-0.94, 絶対リスク減3.8%)。

鉄とカルシウムでは関連が強いらしく、観察期間を短く区切りなおして解析しても同じ結果が得られました。
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これらのうちビタミンEと鉄は、過剰に摂ると有害であることが既に知られています。病気ではなく食事にも気をつけている人は、あえてこれらをサプリメントで摂る必要は無いのかも知れません。

2つ目の研究では、研究者も述べているように、鉄とカルシウム以外の関連性はさほど強くないようです。これらのビタミンやミネラルが害を与えているということなのか、実は他の要素がそう見せているのか、もう少しデータが蓄積するまで待ちたいと思います。

あらためて、食事が主役でサプリメントは脇役、まずきちんと食事で栄養を摂るのが基本だなあ、と思いました。

(last updated 10/14/2011)

2011年09月16日

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低マグネシウムは糖尿病のリスクCommentsAdd Star

カルシウムと骨、鉄と貧血の関係は良く知られています。しかしほかのミネラルの役割や重要さは、そこまで知られていません。

マグネシウムは体内で数多くの生理反応に関与します。平滑筋や心筋の弛緩や収縮にも関与し、欠乏すると糖尿病、高血圧、動脈硬化、不整脈、突然死などのリスクを高めるとも言われます(こちら)。

中国とアメリカの研究者らが、マグネシウムと糖尿病の関係について、これまでの論文を総合的に評価しました(ソースはこちら)。

==要約==
研究者らは2011年1月までに報告されたマグネシウムの摂取と糖尿病についての前向きコホート研究をPubMed(米国医学図書館のデータベース)から検索し、さらに各論文の引用している論文までも調べました。

合計536,318人を対象とする13の論文がメタ解析の対象になりました。うち24,516人が糖尿病を発症しました。

マグネシウムと糖尿病の関係を検討すると、マグネシウムの摂取が多い人では2型糖尿病のリスクが低い、という有意な逆相関が認められました(相対リスク0.78、95%信頼区間0.73–0.84)。

地域性、追跡観察期間、性別、2型糖尿病の家族歴などが公平になるように調整した後でも、この関係は大きく変わりませんでした。

なかでも過体重(BMI ≥25 kg/m2)の人では有意な逆相関が見られましたが、標準体重の人では有意差はありませんでした。

マグネシウム摂取が100mg/日増えるごとに、相対リスクは0.86倍に減少するという結果でした(95%信頼区間0.82–0.89)。
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研究者らは念のため、食物繊維が実は結果に影響していたり、マグネシウムとの関係が見出された研究ばかりが論文化されているような、偏り(バイアス)の可能性も調べました。どちらの問題もないようだ、と報告しています。

以前にも、マグネシウム不足は糖尿病のリスク、という論文を紹介しました(こちら)。どうもこの関係はかなり確かなもののようです。

マグネシウムは大豆、海藻類、ナッツ類に多く含まれています。不足しがちだと思う方は、サプリメントでカルシウムとともに摂るのも良い方法です。

(last updated 9/16/2011)

2011年02月15日

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カルシウムは乳がんリスクを減らすCommentsAdd Staraki3nak

中国の研究者らが、乳がんのリスクと食品の関係を調べました(ソースはこちら)。

==要約==
中国の広東省の病院に来院した438例の原発性乳がん患者と、年齢と居住地をマッチさせた対照群438例が研究の対照になりました。

食生活を確立したアンケートにより調査しました。そして影響を与えうる要因を公平になるように統計的に調整した上で、食品と乳がんの関係を分析しました。

食事からカルシウムの摂取量を算出し、それに応じて4段階に区分し、摂取が最も少ない群の乳がんリスクを1.0として、摂取が多い群のリスクを比較しました。

すると食事からのカルシウムの摂取が多いと、乳がんのリスクは0.35と著しく低いことがわかりました。

乳製品という捉え方で見ると、乾燥重量で見てもタンパク量で見ても、乳がんとの間に有意な差はありませんでした。
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前にカルシウムのサプリが乳がんリスクを減らすという報告をご紹介しました(こちら)。今回の結果は食事からのカルシウムですが、方向は一致しています。

乳製品については、子供の時の摂取量が多いと大腸がんのリスクが高まるという報告がありました(こちら)。でも今回調べた限りでは、成人の摂取量と乳がんとの関係は薄いようです。

(last updated 2/15/2011)