ストレス社会は便秘社会
現代はまさしくストレス社会で、日常生活の中にはどこにでもストレス・ファクターが転がっています。そのため、ストレス性の便秘は誰の身にも発生しうる症状といえます。
自律神経は交感神経と副交感神経の2種類あり、大腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールしているのは副交感神経です。
ストレスは交感神経を優位にし、副交感神経の働きを低下させるので、ストレスを受けている状態が継続すると、大腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍ったり、逆に過度になって強く収縮し、痙攣を起こしてしまうなど、腸に問題が発生することがあります。
ストレスと痙攣性便秘
ストレスに由来する代表的な便秘は、痙攣性便秘と呼ばれるものです。
痙攣性便秘は、大腸が痙攣してしまっているために発生する便秘ですが、動きが鈍っているのではなく、逆に動きが過度になっています。
市販の便秘薬や下剤などは、動きの鈍った大腸の働きを促進するための成分が含まれているため、ストレス性の便秘の場合、便秘薬や下剤の服用は効果があるどころか、より悪化させてしまう可能性があります。
※痙攣性便秘について詳しくは、『痙攣性便秘とその症状とは』をご覧ください。
ストレスと過敏性腸症候群
痙攣性便秘の症状が長く続き、また程度もかなり重度である場合は、「過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)」の可能性があります。
ストレスが主な原因となって発生する過敏性腸症候群の主な症状は、腹痛、腹部の不快感、便通異常で、大きく分けると以下の3つになります。
- 下痢型:突如として腹痛が発生して下痢をしてしまい、通勤や通学、外出が困難になるケースがあります。
- 便秘型:便はウサギの糞のようにコロコロになり、排便が困難になります。
- 混合型:下痢と便秘を繰り返します。
過敏性腸症候群は、日本を含む先進国に多く、日本人の有病率は10〜15%、消化器科を受診する人の3分の1が過敏性腸症候群の患者だと言われています。男女比では若干女性が多く、男性では下痢型、女性では便秘型の症状が多い傾向があります。
腸と脳は神経によってつながっているため、脳が不安やストレスを感じると、それが腸に伝わります。その影響で腸の運動に異常が発生し、上述のような症状が発生してしまうのです。
痙攣性便秘や過敏性腸症候群の治療
主にストレスに起因する胃腸の不調、病気を改善するには、自律神経が正常になるようにライフスタイルを改善することが欠かせません。特に重要になるのが、食事療法や運動療法です。
薬物療法が行われることもありますが、ストレスが主な原因のため、根本的な解決には繋がりにくい場合があります。
日常生活に支障がない場合はセルフケアでも対応が可能ですが、通勤や通学、外出などの日常生活に影響が出ている場合は、早めに医師に相談しましょう。
弛緩性(しかんせい)便秘の詳細は、『弛緩性便秘とその症状とは』ではより詳しく解説しています。
運動不足と痙攣性便秘
痙攣性便秘も運動不足の影響が出る可能性があります。
痙攣性便秘というのは、自律神経の乱れによって大腸の機能が正常に働かなくなり、引き起こされる便秘です。
運動不足は、上述の通り自律神経に不調を及ぼし、副交感神経の活性化を妨げます。
痙攣性便秘の場合は、市販の便秘薬や食物繊維の摂取などの対策が逆効果になることが多いので、運動をはじめとした、その他の解決策が重要です。
自律神経のコントロールが難しいのは、過度な運動をしてしまうと逆効果だという点でしょう。適度に、汗をじんわりとかく程度の運動を日常的に繰り返す必要があります。
また、運動はストレス解消にも繋がります。自律神経はストレスとも密接に関係しているため、この点からも便秘解消に効果があるといえます。
痙攣性便秘について詳しくは、『痙攣性便秘とその症状とは』で詳しく解説しています。