自律神経と自己治癒力の関係

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自律神経と自己治癒力の関係

 人生では、誰もが体調不良やつらい病気を経験します。しかし、そこから上手に回復する人もいれば、そのまま慢性症状になる人や、さらに別の病気を発症する人もいます。

この違いはいったい何なのでしょうか?

それは、その人の治ろうとする力、すなわち自己治癒力の強さによるのです。

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自己治癒力とは、病気から身体を守る免疫力や回復力、傷や骨折の修復能力、細胞の再生能力や新しい命を授かる妊娠力、そして、憂鬱や落ち込んだ気持ちから立ち直る復活力などをいいます。

生命を維持して健康に生きていくために必要な力を総称して、自己治癒力といいます。

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すべての人の身体に備わっているこの治癒力はとてもすばらしいものです。

病院も薬も無い時代から人々が生き延びてこられたのは、ひとえにこの自己治癒力があったからです。この治癒力は昔も今も変わらず、皆さんの体に備わっています。

そして、最新の研究で免疫力(自己治癒力)自律神経が関係していることが解かったのです。

 ここでは、東洋医学と西洋医学の話を交えながら、免疫力と自律神経の関連性についてわかり易く解説します。

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第1章 東洋医学で観る病気の成り立ち
第2章 バランスをとり合う2つの自律神経
第3章 免疫力の主役「白血球」
第4章 自律神経と白血球の連動
第5章 自己治癒力の働きを高める鍼灸治療

第1章 東洋医学で観る病気の成り立ち

 東洋医学では、昔から人の身体には陰と陽の働きがあり、この2つのバランスがとれている状態が良いと言われてきました。

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東洋医学の基本概念に陰陽論という考え方があります。

すべてのものには二面性、陰と陽があり、そして陰陽は相対的なものと考えます。一方が陰なら一方は陽です。

反対の物でありながら、調和する、それが陰と陽です。

たとえば、女性(陰)と男性(陽)、1人の人を見た場合は、下半身(陰)と上半身(陽)などです。

人の身体の働きでは、自律神経副交感神経交感神経、神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリン・・・などが陰陽の働きです。

陰があるから陽があり、陰だけ、あるいは陽だけが単独であるのではないのです。

そして、人は陰陽のバランスがとれ、自己治癒力がきちんと働いている状態が健康とされてきました。

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気血の流れが乱れ、体が冷え、陰陽のバランスが崩れ、自己治癒力が低下することで病になると考えられてきました。

みなさんの体には、生まれてから今までの疲れが必ずたまっているものです。それが体に微妙なひずみを起こし、今日の身体の悩みが生じたのです。

今までの疲れとは、出生の状況、食生活、人間関係、仕事の内容、生活環境、妊娠・出産、今までにかかった病気やけが、交通事故などが元になるものです。

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これらの要因が重なり合いながら、気血の流れにかたよりやとどこおりが起こってきます。そしてだんだんと身体が冷え陰陽のバランスが崩れ自己治癒力が低下していきます。

そして、慢性的な肩こり、腰や膝の痛み、手足の冷え、倦怠感やイライラ、頭痛などの不定愁訴や自律神経失調症状、また、更年期障害、月経痛・月経不順、子宮筋腫、不妊などの婦人科系の症状があらわれます。

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妊婦さんの場合は、つわりが重くなったり、腰や股関節などの痛みがいつまでも続いたり、逆子がなかなか直らなかったりします。

さらに陰陽のバランスが崩れ、「冷え」が強くなると膠原病、がん、うつ病、慢性疾患など、現代医学でも治療が難しい病気を招くことになります。

このように、東洋医学では数千年にもおよぶ治療の積み重ねの中で、陰陽のバランス自己治癒力の関係、そして、病気の成り立ちを明らかにしてきました。

そして、現代西洋医学においても、最新の研究で「自律神経免疫力の関係」(つまり、「陰陽のバランスと自己治癒力の関係」)が分かったのです。

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第2章 バランスをとり合う2つの自律神経

 自律神経は、自分の意思に関係なく体の働きを調整する神経で、無意識にしている呼吸、発汗、体温調整、消化、排泄、睡眠などを司っています。

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自律神経は副交感神経交感神経があり、お互いが24時間、365日休まずバランスをとりあって、体の働きを安定的に調整しています。

2つの自律神経は副交感神経が血管を拡張して血行をよくし、交感神経は血管を収縮して血行を緩やかにするなど、正反対の働きをしています。

また、昼に交感神経が優位になり活発に活動して、夜は副交感神経が優位になり休息モードになります(副交感神経と交感神経は、まさに陰陽のバランスの1つです。)

そして、この自律神経のバランスを崩すのが、体に無理を強いる肉体的なストレスや、悩み心配事などの精神的なストレスです。

身体の無理や、悩みを抱え続けると交感神経過緊張に陥り、副交感神経の働きが抑制されて体温が低下、血流が悪化して日常的にみられるさまざまな体調不良や病気が起こるのです。

そしてもう1つ重要なことは、自律神経が身体の免疫系を担当する白血球の働きにも深く関与している、ということです。

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第3章 免疫力の主役「白血球」

 白血球は全身の血液をめぐって体を異物から守るのが役目です。

白血球はリンパ球、顆粒球、マクロファージという免疫細胞を持ち、絶妙な役割分担を行っています。

白血球の約60%を占める顆粒球は細菌など大きい異物を食べて処理し、約35%を占めるリンパ球は体に侵入したウイルスなどの異物やがん細胞などを処理します。

残りの5%を占めるマクロファージは、顆粒球やリンパ球を誘導する司令塔の役目を持ちます。

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顆粒球は、細菌などを食べると、化膿性の炎症を起こします。また異物を食べたあとの顆粒球の残骸は、臓器や血管の粘膜上で活性酸素をまき散らし、組織や細胞を破壊します。

活性酸素が増えると、炎症疾患をはじめ、がん、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、白内障などの病気を引き起こします。

このように、顆粒球は異物の侵入を防ぐ大切な防御細胞ですが、これが増加しすぎるとかえって病気を引き起こすのです。

一方、リンパ球は「抗原抗体反応」という免疫力を発揮します。

抗原抗体反応とは、ウイルスなどが体内に入ると、リンパ球がこれに対抗できる抗体を作ることです。この抗体によって病気から体を守っているのです。

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第4章 自律神経と白血球の連動

 体の中では顆粒球が増えるとリンパ球が減り、逆に顆粒球が減るとリンパ球が増えるようにバランスがとられています。

そして、顆粒球、リンパ球の増減には、自律神経の交感神経と副交感神経の働きが連動していることが解明されました。

交感神経が優位だと顆粒球が増え、副交感神経が優位だとリンパ球が増えるのです。

この連動により、無理やストレスによって交感神経が緊張すると、低体温や血流障害が起き、白血球の免疫細胞の顆粒が過剰になり、免疫力が下がってさまざまな病気が起こるのです。

また、活性酸素による組織破壊が、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳卒中などの脳疾患、腎不全、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、甲状腺機能亢進症、子宮内膜症、がんなどを引き起こすことになります。

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つまり、身体の免疫システムが正しく働くか働かないかは、自律神経の働きにかかっている、ということなのです。

このように、東洋医学で言われてきた陰陽のバランスと自己治癒力の関係が、現代医学の分野でも分かってました。

無理やストレスで交感神経が緊張し顆粒球が増えた人は、頑張りすぎや悩み過ぎの生き方や考え方から逃れ、休養や身体を温めることに徹すると、免疫力が正しく働き病気が治癒に向かうのです。

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引用文献 安保 徹:「やめてみる」病気は自分で治せる 永岡書店

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第5章 自己治癒力の働きを高める鍼灸治療

 このように、長年、東洋医学で伝えられてきた病気の成り立ち、そして、陰陽のバランスを整えることや気血のめぐりを良くすること、冷えを解消すること、自己治癒力を働かせることが、現代医学でも説明されるようになってきました。

なぜ鍼灸は効くのか?ということが科学的に分かってきたのです。

鍼灸治療は長い歴史の中で、病気の成り立ちを東洋医学的に解明し、自己治癒力によって病から回復できることを明らかにしてきました。

そして、その考え方と治療法は、脈々と現代にまで受け継がれてきています。

鍼灸治療とは、「人が本来持っている自己治癒力がきちんと働くように導くこと」なのです。

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病を発症するほど低下してしまった自己治癒力は、自分の力だけでは回復が難しい場合があります。

そんな時、鍼灸は治癒力がきちんと働くように手助けをします。

 気血のめぐりを良くして冷えをとり、陰陽のバランスを整え、自己治癒力が最大限に働くように促すこと、これこそが鍼灸治療の真髄なのです。

(現代医学的にいえば、血流を良くして、体を温め、副交感神経と交感神経のバランスを整え、免疫力を正しく働かせることで病気は治癒に向かうのです。)

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はり灸はこのように自己治癒力に着目した治療法で、どの病気が鍼灸治療に適しているのか、どんな身体が鍼灸治療に合うのか、という区別はなく、すべての症状にあてはまります。
 どんな病でも自己治癒力によって自然治癒する人は必ずいらっしゃいます。

人の治癒力は昔も今も変わらないのです。

自分の症状はなかなか改善しないとお悩みの方、あきらめずにぜひ一度はなもも鍼灸治療院へご相談ください。

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