マグネシウムは過剰摂取しても大丈夫?

マグネシウムは過剰摂取しても大丈夫?

更新日:2016/12/09 公開日:2016/07/26

ミネラルの種類(2)マグネシウム

マグネシウムは不足してしまうと、倦怠感や記憶力の低下などを招いてしまいます。それでは、反対に過剰摂取した場合、体に弊害はあるのでしょうか。マグネシウムが不足しやすい人、補助のために飲用するサプリメントの注意点もあわせて、栄養療法専門医師の監修のもと解説します。

マグネシウムの一日の摂取基準はどのくらいで、もし過剰摂取してしまった場合どのようなことが体に起こるのでしょうか。

マグネシウムの一日の摂取基準をチェック

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」のマグネシウムの摂取基準は、成人の男性で340~370mg、成人の女性で270~290mgとなります。さらに妊婦の場合は、女性の摂取基準よりもプラス30~40mg多くなり、300~330mgが基準値になります。これは胎児と妊婦が栄養を共有するためです。

この厚生労働省による摂取基準は、食品からマグネシウムを摂取する場合の基準値であって、特にこれ以上摂取するべきでないという上限値は定められていません。食事のみでマグネシウムを摂取する場合は、過剰摂取についてそこまで神経質になる必要はないでしょう。

マグネシウムが不足しやすい人

マグネシウムは、現代的なファストフードなど食事内容によっても不足する可能性がありますが、生活習慣などによってもマグネシウムが不足しやすい場合があります。

マグネシウムが不足しやすい条件としては、アルコール類やカフェインを好んで飲む方、甘いものをよく摂取する方、牛乳や肉類でカルシウムをよく摂る方などです。

激しいスポーツをしている場合も、マグネシウムが不足しやすくなります。

理由は、これらが要因となって、マグネシウムが尿や汗として排出されたり、カルシウムとのバランスが崩れたりしてしまうからです。

さらに、サイアザイド系やループ系の利尿剤や、便秘のために緩下剤を長期に乱用している場合や、腎臓や糖尿病を患っている場合も注意が必要となります。

糖尿病の場合は、高浸透圧利尿のために尿中にマグネシウムがたくさん流れてしまいます。

また、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、カリウム欠乏状態、外傷や火傷などの異化亢進状態においても尿中のマグネシウムの排泄は増えてしまいます。

マグネシウムの過剰摂取が体にどう影響するのか

通常の食材でのリスクは少ないですが、サプリメントや製剤で大量にマグネシウムを摂取すると「高マグネシウム血症」になる可能性が高まります。高マグネシウム血症とは、血中のマグネシウム濃度が4.9ml/dl以上になることです。症状としては、吐き気や立ちくらみ、倦怠感、下痢などを感じるようになり、濃度が18.2ml/dlを超えると心停止や昏睡状態に陥ることもあります。

健康な人の場合、サプリメントや製剤での大量摂取に気をつければよいのですが、腎機能が低下している方や高齢者は、過剰摂取分がうまく排出されない可能性もあるので、注意が必要です。

食品からの摂取であれば、多めにマグネシウムを摂取しても問題ありません。ただし、腎機能が弱まっている場合やサプリメントや製剤を使用している場合は取り扱いに注意が必要です。