SGLT2阻害薬でカロリー制限食と同様、基礎代謝が低下か。

こんにちは。

2014年09月05日 (金)の本ブログ記事
「SGLT2阻害薬、副作用多発。対象例は、絞るべき。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3095.html

で書きましたように、

もともと、SGLT2阻害薬は、比較的若い(40代、50代くらいまで)糖尿病患者で、肥満傾向のある人が対象です。

さらに、SU剤など低血糖を生じやすい薬は内服していなくて、他剤はなしか、せいぜい、1~2種類程度の薬までで、しっかり水分補給する意味を理解できる人まで絞って投与する必要がある薬と思います。

このように絞って、投与したならば、「重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞」はまず生じないと思うので、逆に言えばかなり安易に使われた可能性が高いのです。

とても脱水になりやすい薬なので、脳梗塞のリスクを高める可能性は高く、充分な水分補給が必要不可欠な薬なので、高齢者には向かないのです。

とにかく、SGLT2阻害薬は、対象者を限定するべきであり、使用期間は短期(せいぜい半年から1年)にとどめるべき薬と私は思っています。

夢の新薬のように登場したSGLT2阻害薬ですが、そんなええもんではなかったようです。

さらにもう一つ懸念があります。

それは、SGLT2阻害薬の長期投与により、基礎代謝が低下する可能性があることです。

『SGLT2阻害薬を服用すると、1日あたりおよそ400kcal⇒240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖100g⇒60gが尿から排泄される』

400kcal/日のエネルギーが排泄されるということは、単純理論的には痩せ続けることになります。

しかし、あるSGLT2阻害薬を投与開始して、一旦、37週で3kg減量になったあと、最終的に102週間(2年間)90名くらいで評価して、体重は1.7kg減というデータがあります。

ということは、人体が毎日400kcal相当のブドウ糖が尿から排泄されることに関して、何らかの調整を行って、37週目でボトムになったあと、体重は102週目まで緩やかに増加して、1.3kg分は戻ったということです。

そうすると、仮説としてまず最初に考えられるのは、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖が、尿から排泄される結果としてのカロリー制限に対し、人体が基礎代謝を低下させて対応して体重減少を防いだということです。

例えば、通常のカロリー制限食を続けた場合も、体重が減り続けることはなく一定期間でそれ以上減らなくなりますが、これも人体が基礎代謝を低下させて、低カロリー食に対応した結果と考えられます。

昨日(2014/9/13)のブログで検証したDIRECT論文の図が以下ですが、カロリー制限をして、5ヶ月目にボトムになったあと、
徐々に体重はリバウンドしています。

これは上述の如くカロリー制限に人体が適応して、基礎代謝を下げた結果と考えられます。

カロリー制限を指示された「脂肪制限食と地中海食」を比較すると、特に脂肪制限食のリバウンドが大きいです。

この研究、さらに6年後には脂肪制限食だけは体重減少の有意差がなくなっていました。

糖質制限食と地中海食は、体重減少は少なくなりましたが、6年後も有意差をもって減っていました。

DIRECT.jpg

カロリー制限食にせよ、SGLT2阻害薬によるカロリー排泄にせよ、結果として摂取エネルギーが減少するので、人体は基礎代謝を低下させて、低エネルギー状態に適応すると考えられます。

そのため、カロリー制限食での減量は、必然的に失敗に終わるのです。

SGLT2阻害剤も短期間の使用にとどめないと、数年後には、逆に体重が増える可能性もあるのです。

そして、SGLT2阻害薬を中止しても、基礎代謝が低下した状態がしばらく残存するなら、非常に肥満しやすい体質になっている可能性があるのです。

スーパー糖質制限食なら、基礎代謝が低下することなく、基礎代謝は増加するほうに向かいます。

そして、

「肥満ホルモンがほとんど出ないこと」
「糖新生でエネルギーを使うこと」
「体脂肪が常に燃えていること」
「食事誘発熱産生が増加すること」

により、順調に適正体重まで減量できますので、SGLT2阻害薬の減量効果とは、明らかに違いますね。