糖尿病もマグネシウム不足が最初

国内では予備軍を含めて2000万人以上と推計される糖尿病は、一般的に「食の欧米化」との関係が指摘される。高カロリーや高脂肪食が肥満に結びつき、糖尿病を後押しするとの考え方だ。しかし、それほど太っていないのに、糖尿病になってしまう人がいる。そこには、見落とされた生活習慣が関係していた。

「太っていないのに糖尿病の人は多い。その原因を調べていくと、1965年以降、日本人のマグネシウム摂取量が激減してしまったことがわかりました。マグネシウムは、身体でさまざまな役割をしています(別表参照)。マグネシウム不足は、血糖値を正常に導くインスリンの働きや分泌に悪影響を及ぼすことも、近年明らかにされています」

国内外の研究者によって、マグネシウム不足と糖尿病やその他の生活習慣病との関係について、さまざまな報告がされてきた。横田教授も臨床研究報告を2004年から行っている。

【インスリンに悪影響】

では、なぜマグネシウムが不足すると、糖尿病になるのか。

「マグネシウムは、体内で約350種類に及ぶ酵素の働きに関わっています。また、細胞内のミネラルバランスを整える働きもあり、マグネシウムが不足するとインスリンが出にくくなるのです。また、インスリンはブドウ糖を細胞内に取り込むシグナルを出しますが、マグネシウムが不足すると、細胞はブドウ糖をうまく取り込めません。だから、マグネシウム不足は糖尿病に結びつくのです」(横田教授)

生活習慣病である2型糖尿病は、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、インスリンの分泌量も減る。そのため、高血糖をコントロールできなくなるのだ。いずれにも、戦後の食生活の変化によるマグネシウム不足が深く関与しているという。

「マグネシウム不足は、糖尿病だけでなく脳梗塞や心筋梗塞などの大血管障害にも関係します。意識してマグネシウムを摂取すると、糖尿病だけでなくトータルの改善と予防が期待できます。食事の見直しを行ってみてください」と横田教授は話す。 (安達純子)