糖代謝異常と糖尿病の深い関係とは

糖尿病チャンネル

http://tonyo-ch.com/toutaisha-ijou より

お酒や甘いものが大好きで運動もしない人が健康なのに、健康的な生活をしているはずの自分が糖尿病になってしまった・・・。

そんなことも現実にはあり得ます。糖尿病は食べ過ぎや飲み過ぎといった生活習慣から引き起こる病気ですが、生活習慣はあくまで要因。じつは糖尿病の原因は、「糖代謝異常」という状態なのです。

今回は、糖尿病の原因である糖代謝にフォーカスして詳しくみていきましょう。

そもそも「糖代謝」ってなんだろう?

健康な状態では、食事などで摂取した糖分はエネルギー源となるブドウ糖に変換され、血液によって全身に送られます。

そのときに余ったエネルギーは、肝臓や筋肉などに蓄えられます。食事をしていない時間帯は、その備蓄されたエネルギーが少しずつ血液中に放出されることで、一定の血糖値を保つようになっています。

この働きを司るのが、インスリンというホルモン。そしてこの一連の流れを「糖代謝」と呼ぶのです。

ところが、インスリンの分泌が正常に行われなかったり、インスリンの効きが悪かったりすると一連の「糖代謝」のバランスが崩れてしまいます。そうなった状態を「糖代謝異常」と呼ぶのです。

「糖代謝異常」が起こる原因って?

糖代謝において重要な働きをするインスリン。しかし、十分な量が分泌されていなかったり、量はあっても細胞にきちんと働きかけられなかったりすると、糖代謝異常が起こってしまいます。

インスリンの分泌量が少なくなる「インスリン分泌不全」は、インスリンを分泌している膵臓がうまく働かなくなっている状態です。

十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず、細胞に働きかけられなくなっている状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。

細胞の表面には「インスリン受容体」と呼ばれる鍵穴のようなものがあり、そこに鍵となるインスリンがはまることで初めて、細胞がブドウ糖を取り込むようになります。

糖代謝におけるインスリンとインスリン受容体の関係

インスリン受容体の感度が悪いと、いくら十分な量のインスリンが分泌されていても、細胞はブドウ糖を取り込むことができません。

この「インスリン抵抗性」の状態が続くと、糖代謝異常になり、血糖値が上がってしまうのです。

「インスリン抵抗性」を招く原因とは?

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電解質検査】電解質の役割、ナトリウム・カリウムが異常値となる原因とは?

 

https://www.ishamachi.com/?p=35283 より

  • 監修

    高山 哲朗

    予測医学研究所 わたクリニック

    • 医師
    • 内科
    • 消化器内科
    • 緩和ケア科

電解質にはさまざまな種類があり、それぞれ体のなかで大きな役割を果たしています。電解質のバランスが悪くなるといろいろな症状が出てくると同時に、電解質のバランスが崩れたことは体のどこかで異常が起きていることのサインにもなります。

ここでは、電解質の役割、ナトリウムまたはカリウムが異常値の場合に考えられる疾患について解説いたします。

電解質とは?なくてはならない電解質の役割

人間の体の約60%は水分です。水分すなわち体液にはさまざまな物質が溶け込んでおり、その物質は電気を帯びる電解質(イオン)と、電気を帯びない非電解質に大別されます。そしてさらに、電解質は水に溶けると陽イオン陰イオンに分かれます。

電解質は、その種類にもよりますが、主に下記のような重要な役割を果たしています。

  • 神経筋肉機能の調整
  • 酸と塩基のバランスの維持(体のpHを一定に保つ)
  • 水分バランスの維持

電解質は体内で合成できないので、食事から摂取しなければなりません。電解質の不足では欠乏症や不調の原因となりますが、摂り過ぎも中毒をおこす場合があります。また、食生活の乱れや脱水などで電解質バランスがくずれる以外に、電解質バランスがくずれるような病気がかくれているケースもあります。

様々な種類の電解質がありますが、代表的なものを下記の表に示します。なお、これらの電解質は血液検査によって調べることができます。

主な電解質 役割
ナトリウム 神経・筋肉の機能、電解質・体液のバランスの維持
カリウム 神経・筋肉の機能、電解質のバランス維持
カルシウム 骨や歯の形成、血液の凝固、筋肉の機能、酵素の正常な機能、正常な心調律の維持
マグネシウム 骨や歯の形成、神経・筋肉の機能、酵素の活性化
リン 骨や歯の形成、エネルギーの生成、核酸の形成

出典:メルクマニュアル医学百科家庭版を参考にいしゃまち編集部作成

ナトリウム値が異常な場合に考えられる病気とは?

ナトリウムの主な役割は体の水分保持です。ナトリウムは食塩(塩化ナトリウム)に含まれます。

水分とナトリウムの調節は、腎臓で行われています。腎臓の機能が低下すると尿量が減り、体内の水分が外へ出ていかなくなるため顔や手足がむくみ、体内のナトリウムが水分でうすまって血液中のナトリウムは低値になります。

持続するむくみや尿量が少ないなどの症状から、腎機能低下が疑われる場合にはナトリウム値を調べ、基準より低値になっていないかを確認します。また、肝硬変心不全といった病気でも尿量が減るため、ナトリウムは低値になります。

一方、ナトリウムが高値になる原因のほとんどは水分の欠乏で、激しい発汗下痢・嘔吐熱中症などで脱水となった場合におこります。

下記の表にナトリウムの基準値、異常値で考えられる病気をあげています。基準値は、検査を行う組合・団体・病院によって異なる場合があります。

基準値 基準値をはずれた場合に疑われる病気
ナトリウム 136~148mEq/l 【高値】

【低値】

出典:神戸市立医療センター中央市民病院を参考にいしゃまち編集部作成

日本人の食事摂取基準(2015 年版)(厚生労働省より)では、ナトリウムの摂取目標値を成人男性で1日8g未満、成人女性では8g未満としています。通常、塩分を多く摂り過ぎるとのどがかわき、水分をとるよう体が自然と調節しており、塩分の摂り過ぎでナトリウム値が上がることはありません。しかし、食塩はあらゆる加工食品にも含まれ、気付かずに多く摂りがちですから、注意したいものです。

カリウム値が異常な場合に考えられる病気とは?

医師

カリウムは神経の興奮や心筋の働きを助ける電解質です。ナトリウムを体の外に出しやすくする作用もあり、塩分の摂り過ぎを調節する役目も担っています。

体内のカリウムの90は尿に排泄されて体外に出ます。そのため、腎臓の機能の低下で尿量が少なくなると、血液中のカリウムは高値になります。輸血及びカリウムを多く含む輸液を点滴したときも高値になります。

一方で、嘔吐や下痢で水分が体の外に出てしまうと一緒にカリウムも排出され低値になります。また、利尿剤の服用で尿量が増加したときや、腎臓からカリウムが異常に失われる疾患(クッシング症候群など)で低値になります。

カリウムが高値になると不整脈などの症状が出現するリスクがあります。反対に、低値では全身のけいれんや筋力低下、意識障害などが出現するため、血液検査で異常を認めた場合には原因の追究やカリウム値を基準値に戻すための治療が必要です。

下記、カリウムの基準値、異常値で考えられる病気をあげています。

基準値 基準値をはずれた場合に疑われる病気
カリウム 3.5~5.3mEq/l 【高値】

  • 腎不全
  • アジソン病
  • 低アルドステロン症
  • 薬物の影響
  • 溶血

【低値】

出典:神戸市立医療センター中央市民病院を参考にいしゃまち編集部作成

カリウムは生野菜、果物、豆類に含まれています。日本人の食事摂取基準(2015 年版)(厚生労働省より)では、カリウムの摂取目標値を成人男性で1日3000mg以上、成人女性では2600mg以上となっています。健康な方の場合は普通の食生活では過剰になることはほとんどありませんが、腎臓の機能が低下している方では、カリウムが排泄されず高値になりやすいため摂り過ぎに注意する必要があります。

まとめ

電解質は私たちの体で重要な働きをしています。バランスのよい食生活により、過不足なくしっかり摂りたいですね。脱水でバランスがくずれる以外にも、腎臓機能の低下など病気がかくれている可能性があり、血液検査で異常を指摘された場合には医療機関でしっかりみてもらうことが大切です。

参照リンク厚生労働省|生活習慣病予防のための健康情報サイト|栄養・食生活|ミネラル
厚生労働省|生活習慣病予防のための健康情報サイト|栄養・食生活|ナトリウム
厚生労働省|生活習慣病予防のための健康情報サイト|栄養・食生活|カリウム
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要(PDF)
神戸市立医療センター中央市民病院|臨床検査技術部|検査項目・基準範囲の解説|ナトリウム
神戸市立医療センター中央市民病院|臨床検査技術部|検査項目・基準範囲の解説|カリウム
大塚製薬|電解質(イオン)とは
江崎グリコ株式会社|栄養成分百科|ミネラル(電解質)
メルクマニュアル医学百科家庭版|栄養障害|ミネラル|ミネラルの基礎知識
メルクマニュアル医学百科家庭版|電解質平衡|ナトリウム
メルクマニュアル医学百科家庭版|電解質平衡|カリウム

糖代謝異常と糖尿病の深い関係とは

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http://tonyo-ch.com/toutaisha-ijou より~

 

お酒や甘いものが大好きで運動もしない人が健康なのに、健康的な生活をしているはずの自分が糖尿病になってしまった・・・。

そんなことも現実にはあり得ます。糖尿病は食べ過ぎや飲み過ぎといった生活習慣から引き起こる病気ですが、生活習慣はあくまで要因。じつは糖尿病の原因は、「糖代謝異常」という状態なのです。

今回は、糖尿病の原因である糖代謝にフォーカスして詳しくみていきましょう。

そもそも「糖代謝」ってなんだろう?

健康な状態では、食事などで摂取した糖分はエネルギー源となるブドウ糖に変換され、血液によって全身に送られます。

そのときに余ったエネルギーは、肝臓や筋肉などに蓄えられます。食事をしていない時間帯は、その備蓄されたエネルギーが少しずつ血液中に放出されることで、一定の血糖値を保つようになっています。

この働きを司るのが、インスリンというホルモン。そしてこの一連の流れを「糖代謝」と呼ぶのです。

ところが、インスリンの分泌が正常に行われなかったり、インスリンの効きが悪かったりすると一連の「糖代謝」のバランスが崩れてしまいます。そうなった状態を「糖代謝異常」と呼ぶのです。

「糖代謝異常」が起こる原因って?

糖代謝において重要な働きをするインスリン。しかし、十分な量が分泌されていなかったり、量はあっても細胞にきちんと働きかけられなかったりすると、糖代謝異常が起こってしまいます。

インスリンの分泌量が少なくなる「インスリン分泌不全」は、インスリンを分泌している膵臓がうまく働かなくなっている状態です。

十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず、細胞に働きかけられなくなっている状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。

細胞の表面には「インスリン受容体」と呼ばれる鍵穴のようなものがあり、そこに鍵となるインスリンがはまることで初めて、細胞がブドウ糖を取り込むようになります。

糖代謝におけるインスリンとインスリン受容体の関係

インスリン受容体の感度が悪いと、いくら十分な量のインスリンが分泌されていても、細胞はブドウ糖を取り込むことができません。

この「インスリン抵抗性」の状態が続くと、糖代謝異常になり、血糖値が上がってしまうのです。

「インスリン抵抗性」を招く原因とは?

インスリン分泌と肥満の関係

「インスリン抵抗性」を招く原因のひとつに、肥満があります。肥満になると脂肪細胞が過剰に大きくなり、「TNF-α」や「PAI-1」といった悪玉物質を放出するようになります。

この悪玉物質が、インスリンとインスリン受容体が結合するのを邪魔して、細胞がブドウ糖を取り込みにくくすると考えられています。

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インスリン抵抗性によって血糖値が上がっているときは、インスリンを分泌するランゲルハンス島β細胞は元気なので、血糖値を下げようとどんどんインスリンを分泌します。

糖代謝におけるインスリンとランゲルハンス細胞の関係

インスリン抵抗性がさらに下がる悪循環とは

しかし、いくらインスリンがあっても受容体と結合できないので、血糖値はなかなか下がりません。そんな状態が続くと、やがてβ細胞が疲弊して、インスリンの分泌量も減少してしまいます。

インスリンには脂肪細胞の脂肪分解を抑える働きもありますが、インスリンの分泌量が少なくなってくると、脂肪がどんどん分解されていきます。

そのとき、脂肪細胞から放出されるのが、悪玉物質と同じ働きをする「遊離脂肪酸」。その遊離脂肪酸のために、インスリン抵抗性がさらに悪化してしまうのです。

糖代謝における脂肪細胞とインスリン抵抗性の関係

糖代謝異常と糖尿病の関係

糖尿病とは、血液中のブドウ糖の量が多くなり、余ったブドウ糖がそのまま尿に混じって排出される状態です。

なぜそんな状態になっているのかという原因が、糖代謝異常なのです。つまり、糖代謝異常が続いて体の各部に不調が出て、病気として発覚した状態が糖尿病なのです。

糖代謝異常の段階での早期治療が大切!

糖代謝異常が起こっただけでは、糖尿病にはなりません。軽度の糖代謝異常であれば、食事療法や運動によって改善することができます。

糖尿病は、かなり症状が進んだ状態でないと、なかなか発覚しません。痛みや大きな苦痛を伴わないからといってそのまま放置してしまうと、気がついた時には様々な糖尿病性合併症が進行していたということが、決して少なくはないのです。

特に沈黙の臓器と言われている腎臓に現れる合併症「糖尿病性腎症」は、なかなか気が付きにくい合併症の一つです。

「血糖値などの数値には問題があるけれど、まだ糖尿病とは言い切れない」というグレーゾーンのときに発見して、適切な治療を行うことが大切なのです。

まとめ

糖尿病は自覚症状が出にくいため、初期のころに発見するのが難しい病気です。でも、健康診断などで糖代謝異常の兆候となる高血糖を察知できれば、食事の改善や運動などでの予防することも可能です。

できれば定期的に健康診断を受けて、少しでも異常があったら早めに受診して、適切な予防策をとりたいもので