アルドース還元酵素とは

アルドース還元酵素とは | 40代主婦日本山人参

 

2015/11/23 – アルドース還元酵素は、神経内でグルコースからソルビトールを合成するポリオール代謝の速さを律する酵素です。 通常のポリオール代謝経路では、下記のようにソルビトールは果糖(フルクトース)として無害化され体外に排出されています。

アルドース還元酵素は、神経内でグルコースからソルビトールを合成するポリオール代謝の速さを律する酵素です。

通常のポリオール代謝経路では、下記のようにソルビトールは果糖(フルクトース)として無害化され体外に排出されています。

【ブドウ糖→アルドース還元酵素の作用によって→ソルビトール→ソルビトール脱水酵素→果糖(体外へ排出=無害化)】

 

ところが、人が糖尿病状態となって血糖値の高い状態が続くと、上のポリオール代謝経路におけるソルビトール脱水酵素の働きが追いつかず、末梢神経組織内にソルビトールが蓄積し、神経組織が変性を起こしてきます。

ソルビトールが蓄積すると

手足の痺れ

ソルビトールが蓄積すると、自覚症状としてはとくに両手・両足の痺れ感や、ジンジンする痛みが現れます。

検査所見としては神経伝導速度の遅延や振動覚の低下が見られるようになります。

すなわち、明らかな抹消神経障害が証明されるのです。

 

ここでアルドース還元酵素の働きを抑制すれば、グルコースからソルビトールへの変換が抑制され、高血糖の結果起こる糖尿病性神経障害を防ぐことができるというわけです。

 

なお、食品保存料として使用されるソルビトールは体内での蓄積作用の心配がなく、安全な食品添加物として用いられています。

 

アルドース還元酵素阻害剤

現代医薬品でもアルドース還元酵素阻害剤が開発されています。

アルドース還元酵素阻害剤は、ブドウ糖のソルビトールへの移行を抑え、ソルビトールの蓄積を予防する作用が有ります。

 

しかしながら、アルドース還元酵素阻害剤は、副作用が強く問題の多い薬です。

特に腎毒性など安全性に問題があることから、現在は余り利用されていません。

 

漢方薬では?

ヒュウガトウキという薬草以外では、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)という漢方薬に、アルドース還元酵素阻害剤と同じ作用をもつことが知られています。

牛車腎気丸

 

但し、注意が必要

ときに医者に内緒でこっそり漢方薬を服用し、糖尿病にともなう口の渇きや手足の痺れ感などがすっかり消えてしまうことがあります。

そうなるとその患者さんは、自分の病気がすっかり治ってしまったと錯覚して、食事療法を勝手にやめてしまうことがあるのです。

 

その結果、次に自覚症状が出た時には、非常に悪くなってしまうのです。

そういうことから糖尿病の専門医の中には漢方薬を目の敵にしている医者もいるのです。

アルドースレダクターゼ

 

糖尿病での役割

グルコース濃度は糖尿病患者ではしばしば上昇し、アルドースレダクターゼは糖尿病の合併症を招くと長く信じられていた。数々のアルドース還元酵素阻害剤の候補薬が開発され、その殆どが実質的に失敗に終わったもののエパルレスタットのような成功例も登場し、実用化されている。

機能

アルドースレダクターゼの反応、特に生成するソルビトールは体の様々な臓器にとって重要である。例えば、グルコースからのフルクトース合成の一段階目の反応に使われている。(二段階目は、ソルビトールデヒドロゲナーゼによるソルビトールからフルクトースへの変換である。)

グルコースからフルクトースへの主経路は、ヘキソキナーゼによるグルコースのグルコース-6-リン酸へのリン酸化を含み、フルクトース-6-リン酸への異性化リン酸加水分解へ続く。しかし、ソルビトール経路の方がATPのエネルギーを必要としないので有用である。

また、アルドースレダクターゼは水晶体網膜シュワン細胞胎盤、そして赤血球にも存在する。

 

グルコースからフルクトースへの主経路は、ヘキソキナーゼによるグルコースのグルコース-6-リン酸へのリン酸化を含み、フルクトース-6-リン酸への異性化リン酸加水分解へ続く。しかし、ソルビトール経路の方がATPのエネルギーを必要としないので有用である。

また、アルドースレダクターゼは水晶体網膜シュワン細胞胎盤、そして赤血球にも存在する。

参考文献[編集]

  • Denise R., PhD. Ferrier (2005). Lippincott’s Illustrated Reviews: Biochemistry (Lippincott’s Illustrated Reviews). Hagerstwon, MD: Lippincott Williams & Wilkins, 319.

関連項目[編集]

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害

松葉医院   松葉育郎

はじめに

糖尿病性神経障害とは、網膜症、腎症とならんで、高血糖の状態が長く続くことによっておこる糖尿病の3大合併症の一つである。 足や手など末梢の比較的細い神経線維から始まる末梢神経の障害と、心臓、血圧や胃腸の動きを司る自律神経系にも障害を伴う。 末梢神経障害も自律神経障害も、高血糖で変性した蛋白がたまったり、神経に栄養を供給する細い血管がつまって神経が部分的に死滅するために発症すると考えられている。
神経障害は、その発症は突然起こるものではなく、通常徐々に進行してくる。一方、血糖コントロールを良好に保つと、高度に進行した場合を除いて神経障害は改善傾向を示します。 3大合併症の中で、腎症や網膜症が自覚症状のないまま5年、10年と経過し病状がかなり悪化してから気付くことが多いのに比べて、神経障害だけは手足のしびれなどの自覚症状が初期の頃から現れてきます。症状が軽いからといって放置していると悪化の一途をたどってしまいますが、重症でない限りしっかりとした血糖コントロールを続ければ、症状を改善することが可能な合併症です。
神奈川県内科医会は、糖尿病神経障害の実態調査を2004~2005年に県下で実施し、5000例の症例を収集し、糖尿病患者における糖尿病神経障害を、患者、医師用アンケート、同じ打鍵器、音叉などを使用して、さらに、触覚検査にはティシュペーパーテストを用いて、統一的な手法で検討した。その結果も踏まえて、糖尿病神経障害の成因、病態、診断および治療方針について述べる。

成因

糖尿病性の神経障害は末梢神経の体性および自律神経部分に出現するものを含むと定義され,初期には無症状で機能検査で正常値より逸脱する所見だけが得られ,その逸脱の程度が次第に大きくなって明らかな異常値となり,更に進行すると臨床症状が現れる。また,神経障害は単発性に起こることもあるが,大抵は多発性で体性神経,自律神経に並行し同時進行の形で起こることが多い。はっきりした機序は未だ解明されていないが、様々な仮説が提唱されている。有力な仮説としてポリオール代謝系の異常が挙げられる。慢性の高血糖状態により引き起こされる末梢神経内へのソルビトールやフルクトースの蓄積、myoinositolやcAMPの減少などが細胞膜のNa-K-ATPaseの活性を低下させ、神経機能を障害するという説。その他、グリケーションによる後期糖化生成物(AGE)産生亢進、PKC活性化、酸化ストレス、成長因子、自己免疫機序等の関与を示唆する仮説、.血流障害も重要な因子であり、高血糖状態が神経内鞘の毛細血管に血流障害を起こし、神経線維が慢性的な低酸素状態となり、軸索流の障害などを介して軸索変性を起こす。これらの代謝障害・血流障害を介して、糖尿病患者の約40%に何らかの神経障害が存在するといわれており、高血糖の持続により症状は悪化する。

糖尿病性神経障害の発症機序
糖尿病性神経障害は、代謝および血管障害が主因で発症する。正常なポリオール代謝経路では、グルコースが、アルドース還元酵素により代謝され、ソルビトール、そしてフルクトースが生成される。インスリンはGLUT4(心筋、骨格筋、脂肪脂肪細胞に発現)の発現を増加させ、細胞内へのグルコースの取り込みを増加させる。 インスリンの作用によらず、グルコースが受動的に流入する細胞では、グルコースが、ポリオール代謝経路により、ソルビトールやフルクトースに代謝され、細胞外に放出される。一方、糖尿病では、高血糖により、細胞内グルコース濃度が増加し、その結果、ポリオール代謝経路が亢進し、細胞内ソルビトール濃度が増加し、神経組織に蓄積する。他方、ソルビトール脱水素酵素(ソルビトールをフルクトースに代謝する酵素)の活性は、上昇しない為、ソルビトールが細胞内に蓄積し、細胞内浸透圧が上昇し、細胞内に水分が流入し、細胞が膨潤、浮腫に至る。神経組織に蓄積したソルビトールは、イノシトールを低下させ、神経細胞膜のNa+/K+-ATPase活性を低下させ、末梢神経の軸索が変性し、電気的刺激伝導が遅くなる。知覚神経が障害されると、痛みやしびれ、熱感などの症状が現われ、自律神経が障害されると、めまい、立ちくらみ、発汗異常、胃腸障害、あるいはインポテンスなどの症状が現われる。  アルドース還元酵素(AR)は、水晶体上皮細胞、網膜血管細胞、腎メサンギウム細胞、末梢神経のSchwann細胞に存在している。 酸化ストレスは、アルドース還元酵素が関与する、グルコースがソルビトールに変換される反応で、NADPHのNADPへの酸化を、亢進させる。糖尿病では、糖化蛋白(終末糖化産物:AGEs)の産生が増加する。ミエリン蛋白が糖化されると有髄神経の機能や形態が障害される。血管障害により神経内鞘の虚血をきたし、さらに血管収縮因子の上昇により、血流が低下し、神経線維の脱落がはじまる。グルコースからソルビトールが生成され、補酵素としてNADPHが消費される。その為、ソルビトールが生成されると、NADPH消費を競合する血管内皮細胞から産生される血管弛緩因子NO(一酸化窒素)産生が障害され、神経血流が低下したり、活性酸素が増加し、さらに酸化ストレスが増強することになる。

糖尿病性神経障害の検査と診断

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