以下のような砂糖に関する文書を読みました。
(1)Sugars as tobacco ingredient: Effects on mainstream smoke composition
「タバコの材料としての砂糖:砂糖が主流煙の含有物質に及ぼす影響」
NIHのTalhout Rら、Food Chem Toxicol. 2006年 Nov;44(11):1789-98
「元々、タバコの葉は砂糖を含んでおり、重量で20%までの砂糖を含むことがある。それに加えて、4%までの各種の砂糖が、後から添加される。タバコに砂糖を加えるのは、通常は風味を良くするためと説明されている。カラメル化した砂糖の甘い匂いは、特に喫煙を始める若い人々に好まれる。砂糖の燃焼により、最終的に、アセトアルデヒドが生じる。アセトアルデヒドは、習慣性があり、ニコチンと共同して作用する。砂糖が熱分解すると、多くの有害な物質が生じる。その中には、発がん性のものも含まれる。砂糖があると、タバコの煙の中の、フォルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、2-フルフラールの含有量が増加する。タバコの中の砂糖は、喫煙により、健康に悪影響を及ぼす」
この論文は、米国の国立健康研究所NIHに所属する研究者らによるものです。これとは別に、タバコ会社フィリップ・モーリスの研究者らは、「タバコの中の砂糖は、健康に悪影響を及ぼさない」という趣旨の論文を書いています。
(2)「世界が認めた和食の知恵」2005年、持田、新潮新書
この本には、次のように書いてあります。
桜沢如一は、明治26年に生まれた。母親と弟と妹2人を結核で失った。18歳の時に、自分も結核になった。石塚左玄の『食物養生法』を読んで実践した。主食を玄米か3分づき米にして、一口200回以上噛んで食べた。副食は主食の3分の1とした。味噌汁、小魚の佃煮、ゴボウとレンコンのキンピラ、鯉こく、野菜のてんぷら、大根おろし、タクワンなどから選んだ。牛乳、卵、肉、魚、果物、酢の物、清涼飲料水、アイスクリーム、コーヒー、紅茶、アルコールなどは極力避けた。特に砂糖は厳禁とした。桜沢如一は、2年後にはすっかり健康になった」(p49-51の要旨)
これは、民間療法の類いです。結核にかかった人がこれを実行しても、治らないことが多いと思われます。

しかし、この食事法には良い点もあります。全粒穀物を摂っているので、CDCの勧めと合致しています。また、砂糖を厳禁としているので、WHOの勧めと合致しています。私も、砂糖を排除していますが、同じように、小魚の佃煮(砂糖と醤油で煮詰めたもの)を食べています。私も、コーヒーや紅茶を極力飲んでいません。私は、緑茶を含めても、月に1回ほどです。私もアルコールを飲んでいません。

(3)Sugar Blues、W Dufty、1975年、邦訳「砂糖病」
この本の中で、桜沢如一が1964年に書いた次の文章が紹介されています。
「東洋ではずっと以前から知られていることを、西洋医学は今後、認めることになるであろう。それは、『人類の歴史の中で、砂糖は、疑いなく、最も多くの人を殺してきた物質である』ということである。砂糖は、アヘンや放射性物質よりずっと多くの人を殺してきた。砂糖は、極東やアフリカなどの産業化された近代文明における最大の害毒である。おろかな人々は、キャンディを赤ん坊に買い与える。後日、その恐ろしい結末を知ることになるのだ」(p60)
この本(Sugar Blues)は、これまでに160万部売れたそうです。この本は、ユドキンの最初の本(純白、この恐ろしきもの)が1972年に出版された3年後に出版されています。

 病 名 別 食 事 療 法

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食事療法  結核は 肉、砂糖、魚のとりすぎ 

食事療法         結  核

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食療法

 

肺結核に対する食事療法は一言にすれば結核菌を食い殺してしまうような丈夫な体力に仕立てることであってヽ食事療法の原則はすべて守り、実行しなければならないことになる。

 

o避けなければならない食物

牛肉ヽ豚肉ヽ鶏肉、魚肉などは栄養食品として食べなければならないように考えられている・事実栄養食品には相違ないが、これらは何れも美味なものばかりだから、どうしても食べ過ぎに陥りがちである。このような酸性の食品を食べすぎると、血液そのものが酸性化しヽそれが結核寄の好餌となりヽいつまでたっても菌をぼくめつすることが出来ない。だから肉類、砂糖、動物性の脂肪類は遠ざけヽ他の蛋白食品から蛋白を摂るようにする方が安全で有効である。例えば大豆だとかヽ吉見を原料とした製品の豆腐から充分に摂取出来る。油もその通りで動物性の油よりも植物性の胡麻油や落花生油などから摂るのがよい。

 

o食べなければいけないもの

結核患者はカルシウムとビタミンを豊富に補結しなければならないが、それらは野菜、海草、果物類、骨のままで食べられる小魚から摂ることである。野菜や海草は植物油をいろいろに加えて調味したり、油揚げ類と甘煮をすれば、全然肉類などを食べなくとも充分の栄養が摂れるのであるから、肉や魚を最良の食品だと思う間違った観念を正してかからなければいけない。尚果物は皮そのものの中に大部分の栄養分が舎まれているのだから、皮のままで食べられるものを選びよく洗って皮もろとも食べた方が好い。

 

o食塩と砂糖

結核菌は塩分に対しては極めて抵抗力の弱いものであるから、毎日適当に塩分を補給することを忘れてはならない。塩分に富んだものを食べていると、菌は次第に病巣へ退却して活動力を失い、痰を検鏡してみてもしまいには菌を発見することが出来なくなる程である。だから副食物を作る場合には、田舎風に塩辛めに味をつけること、塩分を舎んでいるものを努めて食べるようにすることが肝要である。糖分は結核菌の大好物であるから、砂糖や糖分を使った菓子類、その他の甘味は出来る限りさけるべきである。

われわれの栄養に必要なだけの糖分はそれぞれの食品に舎まれている糖分と調味のために使われる砂糖とで充分である。従って特に甘味を摂ってみすみす結核菌を強めるような必要はない。

 

o特効ある食品

前途のようにカルシウムを充分に補給しなければいけないが、それがためには特にカルシウム剤の厄介にならなくとも、魚の骨や卵の殼には豊富に含まれているのであるから、それらを妙って粉末にし、振りかけにして食べるように工夫することである。尚カルシウムと共にビタミンAB1B2Cも欠くことのできないものである。

 

o特に効果のある食品

 

「にんにく」

にんにくは特別なにおいがするというので余り歓迎されないが、結核患者の体力を強めるには、実に絶好の食物であるから、においなどの贅沢をいってないで、いろいろに料理を工夫して食べることである。

 

「葱類」

ねぎは普通の葱にしろ、玉葱にしろ、にんにくにつぐ栄養と殺菌力とを特っているから、これ圭た生のままでも調理してでも、努めて食べなければいけない。

 

「人参」

人参は精気をつける栄養食品であるが、なるべく生のままを調理して食べるのがよい。最も簡単なのは人参卸しにして食べるのであるが、f」れは皮のまま卸すヴ」とである。人参と板昆布、大根、ごばう、小魚類を煮合わせたのも大いに摂ることである。

 

「山芋」

山芋は寝汗を訪ぎ、体に力をつけてくれるから、皮のまますり下ろしてト口口にしてもよく、また煮て食べてもよい。

 

「緑茶」

緑茶はアルカリ性食品であり、多量のビタミンCを含んでいるから愛用すべきである。

 

「なずな」

七草に使うなずな(ペンペン草)は本店に卓効があるから、生食、ひたし物、味噌汁の具などにして大いに食用することである。

 

「白菜茎」

白菜の茎を生のまま毎日食べるのもよい。鰻の黒焼とにんにくを炊って粉末としたものを混ぜて、これを常用していると滋養強壮の効果を現わす。結核の盗汗を防ぐには牡蛎の生きている身をとって、すぐ乾燥器などで乾かしたものを常用するとよい。蓮根の卸し汁盃一杯分へ梅酢を少

し加えて毎日飲む。

結核症 (Tuberculosis)

結核症 (Tuberculosis)  九州大学健康科学センター 山本和彦

結核症といえば、肺結核症で喀血する患者の姿が思い浮かびます。第二次大 戦以前は結核症の患者がたいへん多かったこと、若い人々が次々と結核症で命を失い、その悲劇が小説・演劇・映画にしばしば取り上げられたこと、戦後抗生物 質(ストマイ)が登場して、結核症が治る病気になったこと、衛生・生活環境の改善とともに結核症患者が減少したことは、よくご存知のことと思います。日本 の保健・衛生システムは、結核症対策を最も重要な課題の一つとして組織・運営されてきましたが、患者数の減少とともに結核症の重要性は薄れ、生活習慣病 (成人病)対策に重心がシフトしてきました。結核症という言葉をあまり聞かなくなり、周囲に患者が殆どいなくなった状況の中で、●結核症は過去の病気、● 簡単に治るので、大した病気ではない、との認識が広がってきました。

ところが目を世界に転ずると、結核症は過去の病気どころか、依然と して、最も人類を苦しめている病気の一つであることが分かります。アフリカや南アジアでは、HIV感 染の拡大とともに、エイズ患者に結核症が蔓延しています。また、抗結核薬の効かない多剤耐性結核菌が現れ、脅威となってきました。

日本では、第二次大戦後減少傾向にあった患者数が1997年に増加 に転じ、結核菌の集団感染がしばしば報告されるようになりました。近年、特に医療機関や福祉施設で病院内・施設内感染が頻繁に起るようになり、1999年 7月26日、厚生省は結核緊急事態宣言を出して、警鐘をならしました。ここでは、結核症の基礎知識と、結核症を巡る最近の話題と問題点を概説します。

結核菌

結核症は、マイコバクテリウム属に属する結核菌による、慢性の細菌 感染症です。結核菌は1882年、ロベルト・コッホによって発見されました。最も一般的な患部は肺ですが、肝臓、腎臓、消化器や髄膜など、全身の臓器を侵 すことがあります。マイコバクテリウム属には30種以上の細菌が属していますが、大部分は自然界に遍在するもので、病原性は殆どありません。その中のヒト 型結核菌(Mycobacterium tuberculosis var. hominis)とウシ型結核菌(Mycobacterium tuberculosis var. bovis)が、ヒトに感染して結核症を起こします。ハンセン病を起こすライ菌(Mycobacterium leprae)も、マイコバクテリウム属に属します(Principles of Internal Medicine 1991: 637-645)。

結核菌は表面に免疫反応を引き起こす多数の抗原決定基を持ってお り、感染するとツベルクリン反応のような細胞性免疫反応を起こします。結核症では患部に特有の肉芽腫が形成されますが、これも免疫反応の一種と考えられて います。

感染経路

結核菌は主として、空気を介してヒトからヒトに感染します。結核症 では、肺結核症の患者が最も多いことは言うまでもありません。肺結核症ではよく咳や痰がでますが、排菌性の場合、痰の中に結核菌が含まれています。閉め きった空間は空気が乾いており、痰が乾燥しやすくなっています。痰が乾燥すると結核菌(飛沫核)が露出し、これが風でフワフワと空中に飛散します。エアコ ンやファンヒーターが稼働していると、結核菌がなかなか落下せず、フワフワと浮いた状態が長く続きます。このような場所に健常者が入って行くと、結核菌を 吸い込んで感染します。これが、結核菌の空気感染です(日本医事新報 1999; No. 3913: 1-14)。

結核菌は紫外線に弱い菌ですから、太陽光にあたれば無害になります (Principles of Internal Medicine 1991: 637-645)。従って、太陽光が降り注ぐ空間では、空気感染は起りにくくなり ます。また、室内の換気をよくして、結核菌を戸外に追い出せば、空気感染を予防することができます。戸外に出た結核菌は、太陽光の紫外線で感染力を失いま す。

ウシ型結核菌は、菌が入ったミルクを飲んで感染しますが、今ではウ シ型結核菌による結核症は殆どなくなりました。

結核菌の初感染

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広まりはじめた5つの理由

結核ってこんな病気

結核の正体

広まりはじめた5つの理由

結核は過去の病気ではありません。たしかに、一時期より患者数、死亡者数をおさえこむことはできましたが、近年、再び勢いを取り戻しつつあります。その背景には、現代人ならではの要因が深く関係しています。結核の患者数が日本国内で再び増加した背景には、「結核は昔の病気」と勘違いしている人が非常に多いことが挙げられます。しかし、これは大きな間違いです。

WHO(世界保健機関)は、開発途上国での結核患者数の増加をうけて、1993年に世界規模で「結核非常事態宣言」をおこない、警鐘を鳴らしています。 それでは現在、なぜ結核が再び広まりはじめたのでしょうか。時代の変化とともに、人々の理解や認識、生活は変わります。そこに結核のはびこる5つの原因があるのです。

原因の第一は、高齢者は結核が蔓延していた時代をすごしてきたので結核と接する機会が多く、結核に対して免疫のある人が多いです。ところが若い人は結核が沈静化している時代に生まれ、結核菌に出会うことが少ないので、結核に免疫がない人が多く、簡単に感染する危険性が高いのです。原因の第二は、ほとんどの日本人が結核を過去の病気だと思っており、今でも結核菌が身近に存在するとは予想もしてないのです。

そのため発病して、無自覚のまま結核菌をばらまき、感染を拡大してしまうケースが多く見られます。原因の第三は、結核は免疫力が弱い人ほど感染しやすく、発病の確率も高くなります。高齢化社会の日本では、糖尿病などの持病をかかえた免疫力の低い人が増えてきました。今後は結核患者・罹患者の中で、他に病気を持つ人の割合が増えると予想されています。原因の第四は、若い世代の遊び場である、カラオケボックスや居酒屋など機密性の高い空間で結核に感染する危険性が高いことがわかっています。

そして、昼夜逆転の生活、栄養バランスの偏った食事など不摂生な生活環境が免疫力の低下を招き、発病しやすくなっているといえます。原因の第五は、近年、抗結核薬に対抗する新しい耐性菌が登場しており、薬が効きにくいケースが増えています。抗結核薬は医師の指示を正しく守って服用しないと耐性菌ができやすいことから、現在では薬の服用を厳守させる方法がとられています。 先進国の中で罹患率が飛び抜けて高い日本は、1999年7月、「結核緊急事態宣言」を発表しました。しかし2008年でも新たに結核にかかる人は2万人を越え、年間に2000人の人が亡くなっているのです

結核にかかってしまったので、結核について調べてみた

2009/04/05

結核にかかってしまったので、結核について調べてみたCommentsAdd Star

先日、健康診断で肺のレントゲンにカゲがあると言われて検査を受けるように言われました。健診結果はレントゲンを除きすべて正常値で、血液検査の結果も問題なく、まったくの健康体だったので、どうってことないだろうと高をくくっていたのです。しかし、病院での検査結果が出たら、なんと結核陽性でした…。

結核は非常に進行がゆっくりしていて、このように何の自覚症状もなく、血液検査にも異常がなくても、発症しているケースがあるらしいです。何らかの病気にかかっていれば、てっきり白血球の値等が増えていたりするものだと思っていました…。

以下、私は医学を勉強したものではないので、あくまで参考程度のものですが、調べたこと、わかったことを書いてみました。(誤り等がありましたら、訂正いただけると助かります。)

結核に感染しても発症するのは 1割程度

結核は、感染 = 発症というわけではなく、結核菌に感染しても、実際に発症する人は 1割程度という話です1。何年も発症していなくても、免疫力が弱ったときに発症することがあるそうです。年寄りの結核はそういう例が多いみたいですね。

1950年代は20代ですでに国民の約半数が感染という記述がありましたが2、その世代は今 70〜80歳というところでしょうから、若い頃に感染していたのかもしれません。

感染してても発病しないというのは、帯状疱疹とかと似たような感じなんでしょうか。帯状疱疹のウイルスは、水ぼうそうのウイルスなんですけど、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染しているからと言って、帯状疱疹が発症する人は非常に限られているみたいな。ある病気のキャリアで発症はしていない、というのは他の病気でも聞きますね。

私の場合、実は毎年、健康診断の胸部 X線で引っかかっていて、去年の検診結果には「軽度気腫性変化の疑い」と書いてありました。例年のことなので気にしていなかったのですが、今年は「浸潤陰影3」となっていて、病院での精密検査を勧められたわけです。それまで眠っていたものが、この 1年で動き始めた感があるので、このところ抵抗力が落ちていたんでしょうね…。

なお、2007年度の日本国内の新規の結核患者数は、25,311人でした。内訳は高齢者が多く、70歳以上の占める割合が、47.9% にのぼります。50歳以上になると、74.5% です4

結核の感染経路

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結核と糖尿病の合併が増加 「結核は昔の病気ではない」と警告

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2014/022453.php より引用

糖尿病ネットワーク

 日本だけでも年間2万人以上が感染する結核。専門家は「結核は世界的に増えており、糖尿病の人は、特に結核に注意が必要です」と警笛を鳴らしている。
結核を「過去の病気」と侮ってはならない

結核は1950まで日本の死亡原因の第1位だった。適切な治療法が開発されてからは、患者数は一時期を除いて減少し、「結核の流行は終わった」といわれるくらいになった。 しかし、今でも年間2万人以上の新しい患者が発生し、年間で2,000人以上の人が命を落としている。

日本の2013年時点の人口10万人に対する新規患者数(罹患率)は16人で、米国の5倍に上る。さらに世界に目をむけると、年間に860万人が結核に罹患し、130万人が死亡している。

若い世代で結核に対する抵抗力(免疫)をもたない人々が増えたこと、診断の遅れなどによる集団感染・院内感染が増加している。

高齢者では、結核が蔓延していた若い頃に感染し、休眠状態にあった結核菌が、免疫力の衰えや糖尿病などにより活発化し、発病するケースが増えている。

特に糖尿病の人が血糖コントロールが悪い状態が続くと、細菌などに対する抵抗力が弱まり、ひどい感染性を起こす危険性が増す。

さらに、細菌などに感染するとインスリンを効きにくくする物質(サイトカインなど)が多くなり、血糖値は高くなりやすい。このことが糖尿病の状態をより悪くし、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれる。

糖尿病の人は結核を発症する危険性が3倍に上昇

糖尿病の人にとって、結核の脅威は今後ますます拡大するという報告が、医学誌「ランセット」に発表された。「糖尿病の人は、結核を発症しやすく、発症すると重症化しやすい」と警笛を鳴らしている。

「糖尿病の有病数は、全世界で2035年までに5億9,200万に増えると予測されています。糖尿病と結核を合併する患者の数も増えていくと予想されます」と、世界保健機関(WHO)の結核グローバルプログラムのノット ロンロート氏は言う。

「糖尿病の人は、結核を発症する危険性が3倍に上昇し、結核を発症する可能性は4倍高く、死亡率も2倍に上昇します。糖尿病の人が結核に対するケアを受けられるよう、医療体制を整備する必要があります」としている。

世界の結核の感染数の多い上位22ヵ国では、糖尿病も過去3年間で52%増加している。そのため、結核を発症した患者のうち糖尿病を合併している割合は、10%(2010年)から15%(2013年)に増加したとみられている。

結核を発症する患者数は、2035年までに3~8%増加すると予測されているが、糖尿病の有病数の多い国では、これよりも高い数値で推移する可能性がある。

しかし、血糖コントロールを改善し、結核菌をもっている人の発症を抑えることができれば、結核の発症は15%以上減らせるという。

WHOは、結核の患者数を2035年までに現在に比べて90%に減らすことを目標に活動をしている。「これを達成するために、糖尿病と結核の多い国で、両方の病気を適確に診断して治療する体制を整備する必要があります」

次は…結核の予防策は良好な血糖コントロール