活性酸素が癌や老化を引き起こす!?

活性酸素が癌や老化を引き起こす!?

老化は人類全てに共通した問題です。しかし同じ国の同じ年齢の人でも、老化の進み方は人それぞれです。人によって老化の進み方が異なるのは、活性酸素の働きの違いによるものと考えられています。

以前の人間の寿命に関する研究では屋外に存在する自然の放射線を被曝した量によって、寿命が左右されると考えられてきました。

しかし現在では、寿命を左右するのは放射線を被曝したことによって体内に作り出された、活性酸素の量だということが解っています。

活性酸素は実際に人間の身体にどのような影響を与えているのでしょうか。その例をいくつか紹介してみましょう。

皮膚のシワ

皮膚のハリや弾力を支えているのは、コラーゲンというタンパク質です。コラーゲンが不足すると、肌のハリが無くなりダメージを吸収しにくくなるため、シワやたるみが出やすくなります。

紫外線などによって皮膚の組織の中で活性酸素が発生すると、活性酸素はコラーゲンなどのタンパク質から電子を奪って細胞を破壊します。

破壊された細胞は体の機能によって修復されますが、歳をとると修復機能が衰えるためにコラーゲンが破壊された状態のままになってしまいます。

破壊されることによって総量が減少したコラーゲンは肌のハリを保つことができず、シワやたるみができやすくなります。

シミ・そばかす

シミやそばかすは、皮膚のメラニンという色素が沈着することによって起ります。簡単に考えている人も多いのですが、実はシミやそばかすは皮膚癌の症状が軽いものと言い換えることもできる侮れない病状です。

シミ・そばかすは主に紫外線によって発生した活性酸素が原因で引き起こされますが、同じように紫外線に当たっていてもシミ・そばかすができる人とできない人がいます。

人によってシミやそばかすのでき方が違うのは、体内の抗酸化物質SODの働きが強いか弱いかによるものと考えられています。

女性の肌を検査した結果では抗酸化力が強い女性ほど肌がしっとりと潤っていて、抗酸化力が低い女性ではかさかさした乾燥肌の女性が多いことが解りました。

このことからも活性酸素が肌に与える影響の大きさを、推測することができるでしょう。

生活習慣病

日本では生活習慣病で死亡する人の数が、死亡者全体の60%以上を占めています。生活習慣病は別名を「活性酸素病」とも呼ぶように、活性酸素と大きな関係を持っています。

活性酸素は本来体内に侵入した細菌やウィルスを退治して体を守る働きを持っていますが、生活習慣やストレス、喫煙などによって体内の抗酸化物質と活性酸素のバランスが狂うと、過剰に活性酸素が生み出されて細胞の酸化が促進され生活習慣病や老化を引き起こします。

活性酸素が原因で引き起こされる生活習慣病には、動脈硬化・糖尿病・アルツハイマー・気管支ぜん息・高血圧症・慢性関節リウマチなどがあります。

白内障

白内障は目の水晶体が白っぽく濁る病気で、重症化すると視力が失われます。主に高齢者に発症することが多い病気として知られていますが、発症には活性酸素が大きな関わりを持っています。

目は体の他の多くの器官の中でも、もっとも紫外線の直射を受けやすい部分です。屋外では常に紫外線にさらされることで多くの活性酸素が作り出されますが、活性酸素を除去するSODなどの抗酸化酵素も大量に存在しているため、通常は目の機能が活性酸素によって損なわれることはありません。

しかし、SODの生成量は加齢とともに減少するため、高齢者では紫外線によって発生した活性酸素を抑制する働きが十分に機能しなくなります。

このため高齢になるとともに活性酸素によって水晶体を構成する細胞が破壊され、白内障の症状を引き起こすのです。

関節炎

リウマチ性関節炎は免疫機能の異常によって起る病気です。免疫機能は本来、体内に侵入した異物を認識して攻撃・排除する機能です。

細菌やウィルスなどの異物を撃退するために使われるのが活性酸素で、活性酸素はその毒性によって細菌やウィルスを死滅させて撃退します。

ところが免疫機能に異常が生じると、正常な自分の細胞を異物と誤認して排除するために大量に活性酸素が作り出されます。活性酸素は関節を潤滑に動かす機能細胞を破壊して炎症を引き起こしてしまいます。

関節は通常「滑液」と呼ばれる潤滑剤で包まれていますが、滑液には抗酸化作用がないため関節部分で引き起こされた活性酸素による細胞の破壊は留まることなく被害を広げることになります。

認知症

最近の研究ではアルツハイマー性の認知症の原因が、活性酸素ではないかという見方が強くなってきています。

アルツハイマー病では大脳の萎縮や神経細胞の損傷が認められます。また脂質が酸化したことによって生成されたリボフスチンが、脳の内部にたくさん出現します。

このリボフスチンは脳を構成している脂質のドコサヘキサエン酸が酸化したものである可能性が高く、酸化を促進しているのは脳内に発生した活性酸素ではないかという説です。

ドコサヘキサエン酸は男性より女性の脳に多く含まれている物質で、このことがアルツハイマー病患者に女性が多いことと関連しているのではないかという見方も出ています。

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