脳卒中の原因は

脳卒中の原因は
 脳卒中は突然発症しますが、発作にいたるまでにさまざまな発症の要因を積み重ねてきています。脳卒中が心配な人は、こうした発症の要因があるかどうかを自覚して、ある場合は一つでも減らすようにしていかなければなりません。
病気が進行して発病する 高血圧  現在わかっている発症の要因の中で最も危ないのが高血圧です。血圧には最高血圧と最低血圧がありますが、上が140mmHg以上、下が90mmHg以上を高血圧といいますが、そのどちらが高くても脳卒中が発症しやすくなります。
高血圧になって適切な治療を受けずに放置しておくと、約3分の2~4分の3の人は脳出血や脳梗塞を起こす可能性があるといわれています。これは脳の細い動脈が、長い間高い圧力を受け続けた結果もろくなり、破れて出血を起こすからです。
また、くも膜下出血も高血圧によって発症しやすくなります。くも膜下出血の主な原因は動脈瘤の破壊ですが、動脈瘤は、もともと体質的に血管の中膜が弱いところに、強い血圧がかかって血管の一部が膨らんで、そのうちに破壊するものだからです。
高脂血症  高脂血症は、血液が異常値を示すだけで特に何の症状もなく、周囲の人からも何ら変わりがないために危機感をもって改める人は少ないようですが、高脂血症の人は、脳卒中や心臓病を終着点とする高速道路の入口にさしかかっていると言えます。
高脂血症は高血圧や糖尿病とならんで動脈硬化の最大の要因であり。隠れた最大の死因の一つとも言えます。血液中のコレステロール値が高い状態が続くと動脈の内側の壁を傷つけて動脈硬化になりますが、動脈硬化は年齢とともに動脈に広がっていき、60歳代の後半には脳まで進行し、やがて脳梗塞を起こすことになります。
心臓病  現在、心臓病を持っている人、過去に心臓病を起こしたことのある人、または心電図に異常のある人は脳梗塞がおこりやすいとされています。また、心房全体が正常に収縮しないで、けいれん状態になる「心房細動」を持っている人の場合は、特に脳梗塞を起こす確率が持っていない人に比べて5~6倍高くなります。
糖尿病  糖尿病は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。血液中のブドウ糖が過剰な状態が長く続くと、全身の動脈をはじめ、末梢神経などにも影響がでてきます。ブドウ糖が過剰な状態の血液は血管壁をもろくして傷つきやすなります。そうすると血液が凝固しやすくなって血栓ができる危険性が高まります。
日常生活の中で タバコの吸いすぎ  タバコが高血圧や動脈硬化を促進させる危険因子となることははっきりわかっています。その理由としては、たばこに含まれる一酸化炭素や炭酸ガス、炭化水素によって血液が酸欠状態になり血管壁が傷つきやすくなります。また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素によって血管が収縮して血圧が上昇します。
一回の喫煙で血圧の上昇状態は約15分も続き、これが何十本もタバコを吸うヘビースモーカーですと、血圧の高い状態が一日中続いていることになります。
特に、脳や心臓の血管がすでに動脈硬化を起こしているような場合には、1本のタバコが脳梗塞や心筋梗塞を起こす引き金になることもあります。喫煙はぜひ控えたいものです。
アルコールの飲みすぎ  脳梗塞やくも膜下出血は純アルコール量にして毎日平均日本酒で2合弱以上飲む高齢の男性は脳梗塞が起きやすいといわれています。これはアルコールが血圧を上げる作用があることと関係しています。
日本酒を3合以上飲むと、それが引き金になって脳卒中を起こしやすいという報告もあります。
大量のアルコールは脱水症状を誘発し、血液を濃くして固まりやすくすると考えられています。大量のアルコールの摂取は、肝臓障害はもちろんのこと、高血圧、脳卒中、糖尿病の原因にもなります。
肥満  肥満そのものが脳卒中を起こす原因になることはないのですが、肥満になると高血圧や糖尿病、心臓病などの生活習慣病になりやすいので、これらの病気をあわせ持つ肥満の人は脳卒中になりやすいと言えます。
特に高血圧については、肥満の人はそうでない人に比べて、3~4倍も高血圧になりやすいといわれています。肥満の人が高血圧になりやすいのは、肥満の人はインスリンの働きが悪く、血液中の余分なブドウ糖を処理するために、インスリンを大量に分泌する必要があります。その結果、過剰に分泌されたインスリンが血圧を上昇させるのです。
運動不足  肥満になるということは、食物からとり入れるエネルギーに見合ったエネルギー消費をする運動をしていないということです。余ったエネルギーが中性脂肪として蓄積されてしまうのです。そこから運動不足は肥満になりやすく、そのため脳卒中になりやすいという結果になります。
適度な運動を規則的な続けることは肥満を防ぐだけでなく、血圧を下げ、善玉のコレステロールを増加させて、新陳代謝をよくする効果があります。ということは脳卒中の危険因子の多くを減らすことができます。
ストレス  ストレス反応があると、普通は副交感神経が働いて興奮状態をしずめます。ところがストレスが長く続いたり、非常に強いストレスを感じた場合には、自律神経のバランスが乱れて、交感神経の興奮がなかなか治まらない状態になります。その結果、血液中の糖質が増え続けるので、血管壁が傷つきやすくなり、動脈硬化が進み、高血圧や脳梗塞などの原因となります。
またストレスは脳卒中の発作を引き起こすことがあります。血圧をコントロールしているホルモンは、普段はちょうどよい分量が分泌されていますが、強いストレスを受けると一時的に血圧が下がり、その状態から抜け出すために血圧を上げるホルモンを大量に分泌します。これがきっかけで脳出血を起こすことがあります。
加齢  動脈硬化は1種の老化現象であり年をとるとともに進行します。そして動脈硬化が進むにつれて、血圧も上昇し、高血圧と動脈硬化は悪循環を繰り返しながら悪化していきます。また、年をとると、血圧は高いのに、脳に送られる血液は減ってきます。
つまり加齢にしたがって動脈硬化が進み、そのため高血圧になり、脳の血流量が減って脳卒中を起こす危険性が高くなります。
統計的に、脳卒中は女性より男性に約2倍多く起こります。これは、男性のほうが動脈硬化の進行が約10年早いからだといわれています。女性の動脈硬化が遅いのは、女性ホルモンの働きが関係していると考えられています。女性は40歳代までは同じ年齢の男性に比べて、動脈硬化の主な原因となる高脂血症が少ない傾向にあります。
同様に高血圧も閉経期までは少なく、重症の高血圧は男性の3分の1以下です。これも女性ホルモンの影響と考えられています。
従って閉経後は急速に動脈硬化が進み、75歳くらいになると脳卒中の男女の割合はほとんど差がなくなります。
遺伝  脳卒中を起こした人には、しばしば両親や兄や姉妹にも脳卒中を発症していることがありますが、一般に、脳卒中は遺伝的な要因よりも各種の環境的な要因のほうが大きいと考えられています。
現在でも、脳卒中を引き起こすような遺伝子は発見されていませんが、発症の危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症、心臓病などの総和であると考えられています。
しかし、くも膜下出血では2親等以内の17%近くに、原因となる脳動脈瘤が見つかったという報告があります、これはかなり高い確率です。
また、一般に発症年齢が50歳以下と若い場合には、より遺伝の影響が大きいとされています。

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