血清ナトリウム値の変動要因には何がありますか?

血清ナトリウム値の変動要因には何がありますか?

血清ナトリウム(Na)値はmmol/Lで示されるように体内総Naの絶対量を意味するものではなく、細胞外液のNa量と水分量との比を表わし、Naと水の動きによって血清Na値は変動します。

低Na血症の原因には、嘔吐・下痢、消化管出血や利尿剤によるNa喪失によるものと腎不全やうっ血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群など相対的に水分の貯留が起こってしまうものに大別されます。Naに比べて水の喪失が多い低Na血症では血清浸透圧が低下します。

一方、高脂血症、高血糖などでは血清浸透圧が上昇し、水分を血管内へ引き込むことにより、Na濃度が低下します。血糖値が100mg/dL上昇するごとに血清Na値は1.6mmol/L低下するといわれています。

また、血清を分離せず放置すれば、Naは赤血球内に移行し、血清Na値は低下します。特に低温下で起こりやすくなり、このとき血清K値が上昇します。よって、採血後測定まで全血のままで輸送・保存する場合は常温で行います。

逆に、Naに比べて水の喪失が多い高Na血症では細胞外液の浸透圧が増加するため、細胞内から細胞外へ水が移動し、細胞内脱水が起こり、口渇が現れます。
そのため、高Na血症は適切な飲水摂取の困難な幼児、高齢者、認知症などの神経疾患患者に生じやすくなります。

また、血清Na値は加齢によっても有意に上昇します。

さらに、血清K値に季節変動があるように血清Na値にも季節変動があり、気温の上昇に伴い、5月頃から徐々に高くなり、8月頃まで高値が続きます。

血清Na値の異常が生じた場合、原因鑑別に浸透圧を同時に測定します。

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