大竹真一郎 総合内科専門医/駆け込みドクター
アメリカ厚生省と農務省が「食事によるコレステロールの摂取量と血液中のコレステロールの間に特段の因果関係はない。コレステロールは摂り過ぎることを懸念すべき栄養素とは見なさない」と報告しました。
コレステロールは体にとって必要な物質ですが、多すぎれば動脈硬化が進行し心筋梗塞や脳卒中といった生命にかかわる血管の病気を起こしやすくなるのです。
元来、コレステロールが高い場合には食事でのコレステロールを控えることが勧められていました。しかし今回の報告によると、食事でのコレステロール摂取量と血液中のコレステロールは関係がなかった、つまりコレステロールを食べ過ぎても血液中のコレステロールが上がるわけではないし、逆に控えても血液中のコレステロールは下がらないということなのです。
ただしここで注意が必要なのは、決して血液中のコレステロールが高くても大丈夫というわけではないということです。
食事制限は意味がないのか?
今回の報告では、野菜、果物、全粒穀物、低または無脂肪乳製品、魚介類、豆類やナッツを多めに摂り、アルコールは中程度にして、赤身肉や加工肉、そして砂糖入りの食品やドリンク、精製された穀物を控えることを勧めています。
さらに
・一日あたりのナトリウム摂取量は2300ミリグラム未満(食塩換算で5.8グラム未満)
・一日あたりの飽和脂肪酸は総カロリーの10%未満
・一日あたり添加糖は総カロリーの10%まで
つまり塩分と糖分を控えて、脂なら何を食べてもいいというわけではなく飽和脂肪酸(50歳以上は特に)は控えましょうとしています。
飽和脂肪酸(バター、ラード、脂身の多い肉に含まれる)、トランス脂肪酸(マーガリンやショートニングに含まれる)の代わりに不飽和脂肪、特に多価不飽和脂肪酸(魚に多く含まれるEPAやDHA、αリノレン酸が含まれるえごま油、亜麻仁油、シソ油など)を摂ることを勧めています。