脳卒中は脳の血管が詰まったり、破れたりして、細胞に栄養が行かなくなり、細胞が死んでしまう病気です。
して、脳血管障害、脳梗塞、脳出血などの紛らわしい病名があるので、少し整理しておきましょう。
脳血管障害は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に代表される血管に関る脳の病気の総称です。脳卒中は、脳血管障害が比較的急激に発症したものを呼びます。
脳卒中になる前触れとして、一時的に半身が麻痺する、手足がしびれる、ものが二重に見える、少しの間、言葉が出てこなくなる、といった症状が見られることもあります。しかし、症状があっても気づかないこともあるほか、すぐに症状がなくなるため安心して放置するということもあり、突然の発作を迎えることも多いようです。
脳卒中の症状は病気の種類や起こった部位によって異なりますが、次のような症状が急激に、あるいはゆっくりと現れます。
・体の片側が麻痺する ・手足がしびれる
・言葉が出なくなる ・人の言っていることがわからない
・ものが飲み込めなくなる ・片目が見えない
・ろれつが回らなくなる ・ものが二重に見える
このほか、くも膜下出血では激しい頭痛、嘔吐、けいれん、意識不明などの症状があります。また発作のあと寝たきりになると、使わない筋肉がこわばって動かなくなるなどの合併症を引き起こします。治療が遅れると症状が悪化し、再発作で命を落とすこともあります。
脳卒中で多いのは、血管が詰まるタイプの脳梗塞で、脳卒中死亡のおよそ3分の2を占めます。しかし、血管が破れる脳出血のほうが多い時代もありました。昔は栄養不良で血管が弱く、破れやすかったからです。飽食の時代といわれる現代では、高脂血症や糖尿病が多くなり、脳梗塞が起こりやすくなっています。
脳梗塞と脳血栓
脳に栄養分を送る血管が詰まるタイプで、①アテローム血栓性梗塞、②ラクナ梗塞、③心原性脳塞栓症の3種類があります。
●アテローム血栓性塞栓(脳血栓症)
動脈硬化によって動脈壁に沈着した粥状のアテロームのため、血管が狭くなって脳の血流が阻害され、血液が届かなくなった部分の細胞が死んでしまう病気です。アテロームが動脈壁からはがれ落ちて、末梢の血管が詰まったものもこれに分類されます。
アテロームはゆっくりと成長するため、症状はそれほど突然には現れませんが、徐々に悪化するので注意が必要です。
●ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まるもので、小さな梗塞がいくつも起きますが、症状がまったく出ない場合もあります。リスクファクターは高血圧です。
●心原性脳塞栓症
主に不整脈(心房細動)によって心臓に血栓ができ、その血栓がちぎれて脳に流れ込み、脳の血管を詰まらせてしまうものです。心房が十分に収縮しないため、よどんだ血液が固まってしまうというのが血栓のできる仕組みですが、不整脈自体が無症状のことも多いので、脳塞栓は急激に現れることが多くなります。また症状も激烈になる傾向があります。
脳出血
脳の中の細い血管が破れて出血し、血のかたまりができて、神経細胞を壊してしまうものです。高血圧や、年をとって脳の血管が弱くなることが原因で、活動中に頭痛、めまい、半身麻痺、意識障害などが起こります。脳卒中死亡の25%を占めています。
くも膜下出血
脳を保護している3層の膜(内側から軟膜、くも膜、硬膜)のうち、軟膜とくも膜の間にある動脈瘤が破れて、膜と膜の間にあふれた血液が脳全体を圧迫するのがくも膜下出血です。
突然激しい頭痛、嘔吐、けいれんを起こし、意識をなくして急死することもあります。危険因子は高血圧や動脈硬化です。脳卒中死亡の10%強を占めます。
脳卒中の最大の原因は動脈硬化です。最も多い脳梗塞の原因が主に動脈硬化であるばかりでなく、くも膜下出血も動脈硬化と高血圧が原因です。また、脳出血は高血圧を主な原因としていますが、高血圧は動脈硬化を起こす主な要因の一つでもあります。
ですから、脳卒中の予防法は高血圧に気をつけ、動脈硬化を引き起こすリスクファクターである高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満に対して適切な自己管理を行なうことです。
高血圧症について
高血圧には、体質や生活習慣が関係する一次性高血圧症(本態性高血圧症)と、別の病気が原因で起こる二次性高血圧症(続発性高血圧症)がありますが、日本人の9割は前者だといわれます。
一次性高血圧症の原因はいくつかの要因が関っており、遺伝や加齢、喫煙、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、自律神経やホルモンに影響を与えるストレス、動脈硬化などがあります。
食事は、ナトリウムを排泄させるカリウムや、血圧を下げる大豆ペプチドなどを多く含む食品を多く摂ります。そのほか動脈硬化を防ぐための食事も併用します。血圧の高い人は医師の指示に従い、減塩と運動を継続的に実行してください。
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